なぜか物語であった

稲吉急便

なぜか喧騒であった

静電気みたいな小さい声

ぱちぱち弾けて泣いた

がらがらになったのどは

たなの奥に隠した皿みたいだ

目覚めたいから、急ぎたい

代わる代わる大きな夢心地


光風霽月な時間の中で

結構暗い話を考えてきた

こういう清潔な悲しみで

のどを潤したい


忘れていく

あなたの名前1文字残らず

かわいそうなのは誰だろう

実際どうなんのか分からんね

涙を描いた皿に

セラミックの石附に

静電気がほとばしる


ぬいぐるみに抱かれ

一人一人みんな

何といおうと

涙が出ていき、眼圧が下がる感覚と

胸を痛め、切なくなる感覚

あるのは自分のものだけだ

だからなのか知らんが

一番リアルに生きているのは私である

とどこか

自我ぶったことを仰せになる

誰もがだ

それは僕もである


バシラス属性の輩が言った

僕には嫌いなものがない


そうだろうか

目を開ければ鼻について

苛立って都合が悪くなって

そうやって嫌いなものが見える目だよ

僕だけかもしれんが

涙はそこから出てくるんだ

不思議な生き物だろ?



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