Wait Time
小本 由卯
第1話 Wait Time
初めまして。
僕はこれからカップラーメンを食べる。
今からお湯を注いで3分間待たなければいけないので、良ければそれまで
僕の話を聞いてくれるとありがたい。
もし、貴方も今カップラーメンを食べるというのなら先にお湯を注いで
来ることをお勧めする。
逆に嫌いで、見るのも嫌ということであれば本当に申し訳ない。
……。
お察しの通り、僕はカップラーメンが大好きだ。
ちなみに嫌いなのは、「3分も待てないよ~!」って3分間ゴネる人だ。
せっかく出来ても、麺をすすった直後に頭突きでもされたら美味しくないだろう。
早く食べたい気持ちは分かるが、美味しく食べる為にも謙虚に待って頂きたいものである。
……いや、申し訳ない。
愚痴を聞いて欲しかったのではない。
聞いて欲しいのはもちろんカップラーメンの話だ。
カップラーメンは普通に食べる以外にも、普段思いつかないような具材を
トッピングしたり、カップラーメンを材料に様々な料理を作ったりと
また違った味を楽しむことも出来る。
いわゆるアレンジというやつで、テレビやネットでも話題になった時期が
あった程で、ご存知の方も多いだろう。
僕もカップラーメン好きとして、自分でも究極のカップラーメンの
アレンジを見つけようと思い、そこでカップラーメンならではの長所を
活かすべきだと考えた。
そして気が付いた。
カップラーメンの最大の長所、それはこの調理時間の短さ。
こんなに美味しいものが、お湯を注いで3分待つだけで食べられる。
つまりカップラーメンは、僕なんかが手を加えずともすでに究極だった
のである。
一部では、生でそのまま食べるのが好きという人もいるようで
それならその3分すら待つ必要が無くなる。
もちろんアレンジを否定するつもりは微塵もない。
何事も探求することは良い事だと思うし、その話題でカップラーメン好きが
増えれば尚良いと思う。
さらに言えば、アレンジによって様々な可能性を秘めている点も
カップラーメンが究極である理由の1つとも言えるだろう。
(……堂々と話した割に、大した話じゃないな。)
と、こんなよく分からん奴の話を最後まで聞いてくれて本当にありがとう。
そろそろ時間だ。
完成した
……あ。
これ5分待つやつだ。
申し訳ないが、もう少しだけ話を(略)
Wait Time 小本 由卯 @HalTea
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます