幻獣使いの英雄譚

ミントグリーン

勇者ギルドから追い出された幻獣使いのアナベル


幻獣使いビーストサモナーは珍しく勇者と呼ばれ、魔物退治を生業とするギルドに一人だけ所属するとあるギルドがあったのだが何か様子がおかしい。少し見てみよう。


「クビー!!? なんでですか?」


「お前は足でまといなんだよ。てめぇみたいな奴を雇ってるようなヒマはねぇし、第一に幻獣使いビーストサモナーって言うから物珍しさに雇ったのに幻獣を1匹も連れてないお前なんて雇ってられるか!!ほらよ。」

どうやら自分が思った幻獣使いビーストサモナーじゃなかったことと幻獣を持っていないことからクビにしたようですね。

机の上には大量の金貨が置かれています。


「分かったよ。その代わりこの件については不当解雇としてギルド本部には伝えておく。じゃあね?」

そう捨てセリフを残して出ていく本作品の主人公アナベル・ノアはこうした経緯から一人身の冒険者になったのであります。

あっ 申し遅れました。解説をやらさせて頂きます。

ミントと申します。

彼ことアナベルに変わり要所要所で説明させて頂きますので以後お見知り置きを では、本編スタートでーす。


「全く だからあぁ言うやつは嫌いなんだ。物珍しさで幻獣使いビーストサモナーを雇うからこうなるんだよ。僕が使える能力はモンスターを仲間にして操れたり、幻獣と契約して従属関係になることぐらい何を期待してるんだか… 」

グチグチと文句を言いながら森の中を歩いていると女の子の声が聞こえてくるではありませんか?


「ふん♪ふんふーん♪ふんふーん♪」


「何かの鼻歌か? ここら辺じゃ珍しい幻獣ビースト属の子かな?」

幻獣ビースト属はそれぞれ特有の鼻歌を持っており、その鼻歌を歌いながら歩くことで幻獣使いビーストサモナーと出会うことができ、契約を結んで従属関係になることによってその力を引き出すことが出来るようになるわけです。

おや? 森の川辺にいるようなので近づいてみることに


「ここら辺にいるはず 緊張するなー。初めての契約 確か契約は手の甲に五芒星を描いて汝、我と宿命の名のもとに従属を誓い、主を邪の者達から守ることを誓うか? 誓うって言えば手の甲にキスをして契約の完了だな。よし、出て話してみよう。」

ゆっくりと林の中から出ていくと綺麗な毛並みをしたフェンリルの少女が水浴びをしていたのでどうすればいいか分からず見とれているとフェンリルの少女が変態だーっと叫んだ。


「違う。違う。ごめん。ごめん。あまりにも綺麗な毛並みをしていたもんだからさ。つい、それに服を着ようね。」

少女の服を着替えさせた後で、自分が幻獣使いビーストサモナーだと明かしたアナベルは契約について話した。


「こういう訳なんだ。初めてだよ。君みたいな幻獣を見るのは。」


「どうして? 森の中には沢山いるんじゃないの?」


「この辺りは魔獣と間違われたり、野獣と間違われたりして追い返されたり、捕まえられて売られたりしちゃうから。危ないよ。」


「従属の契約をしてる幻獣は襲われない?」


「うん、そこまで強引にやればギルド本部が黙っちゃいないし、今や 幻獣の売買の規制も厳しく取り締まられるようになったからね。それよりも人間を恨んでしまう子も多い。それは幻獣使いビーストサモナーとしては見過ごせないな。」

彼を見る目が変わったのか手の甲を差し出し、契約を結ぶ決意を固めたフェンリルの少女 名前は従属契約後に主が決めるのです。


「汝、我と宿命の名のもとに従属を誓い、主を邪の者達から守ることを誓うか? 」


「うん、違う。」

手の甲にキスをして契約は完了し、名前を決めることになりました。


「名前かー 何がいい?」


「シオン シオンがいい。」


「うん、分かった。それにしよう。」

シオンという名前のフェンリルの少女と出会ったアナベルは冒険者として旅に出る生活を始め、それから2年の月日が流れ、アナベルとシオンはお互いの信頼関係が構築されたこともあってか凄まじい勢いで成長を遂げていたのであります。


「シオン もうすぐエラートの街だよ。」


「エラートっていうとエルフの街 幻獣もいるって言う噂もあるけどどうなんだろう?」


「幻獣 ガルム フェンリルと同じ犬型の幻獣で肉体強化系魔法を得意し、格闘術では普通の人間じゃまず、勝てないだろうね。」


「そんなに強いんだ!! でも、格闘術使いファイターと戦ってるところ見てみたいね。」


「そうだね。」

勇者ギルドのリーダーであり、俺様体質のグランドスも格闘術使いファイターであり肉体強化系の魔法と肉体防御系の魔法を駆使して戦うのでありますが、実は肉体防御系の魔法を得意としていたのはアナベルなのであります。

アナベルは魔導師マジックマスターとしても適性を持っており、魔法も使える逸材であります。


「それにしてもあの人たち勇者ギルド解散させられたんでしょ?」


「うん、ギルド本部議長から大目玉をくらったらしいよ。ドラゴン討伐の失敗、ゴブリンの国王であるアラスタロス二世の護衛と宥和を兼ねた任務での失敗、それから幻獣 バジリスクを怒らせて都市が壊滅しちゃったことから解散命令が出されたらしい。俺は悪くない。俺は悪くないんだぁぁって叫び散らしたこともあってか評判はガタ落ち 勇者ギルド再興はしないことで決まり、元勇者の仲間たちも見限って他のグループや自分のギルドを作ってどこかに消えたっていうのは報告書に来てたけどバカなことしたね。」

アナベルはギルド本部議長の息子であり、あの辺りではかなり有力貴族の息子でもあったことからかなり勇者ギルドはその地域の市民から冷たい目線を浴びせられ、総スカンを喰らうということにもなっていた。


「俺は悪くないんだぁぁ… あいつがあいつが!!」


「いつまでも他人に責任を押し付けるのはどうかと思いますが。」


「くっそー!! もう一回あいつをギルドに入れて新しい勇者ギルドを結成する!!」


「くだらない。私はおります。こんな泥船。」


「僕ももう新しいギルド結成したのでね。」


「誰の許可を得て!!そんなことをしてやがる!!」


「あんたこそ いつまで俺様気取ってんの? いい加減にしなよ。あんたのおかげこの地域では私達の評価悪いし、それに失敗をしたのもあんたが無理やり突っ込んでやられたからでしょ。」


「もう二度と関わらないで」

次々と立て続けに任務を失敗したのはリーダーのせいであり、メンバーは誰一人として悪くないのであります。

そして平和を壊そうとする者がアナベルの方へと向かっていく。


「待ってろ!!アナベル 引っ張ってでもギルドに入れてやる!!!!」

自信過剰な男程無能な者は無く静寂を壊していい権利などありはしないのです。


「もうすぐ着くから宿探そうか。」


「うん。」

彼らが英雄と呼ばれるようになるのはまだまだ先のお話なのです。ヌルふふふふ

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