かぐや姫は貪欲である
こめ おこめ
引き継がれているものは確かにある。それは良くも悪くもある
月の裏側。日本では『かぐや姫』とよばれているものがウサギを引き連れて闊歩していました。
「姫様、今日のご予定は?」
「……」
「姫様?」
「……私さ、地球から出てもう千年くらいたったじゃない」
「はぁ、そうですね」
「そろそろがやんちゃしてたこと忘れられてると思うのよね」
「姫様、何度も申しますように御伽噺として今でも読まれるものとなっております。なので忘れられることは難しいかと」
「でも今は創作文化が発展して私のもとの物語どれが本物か分かってる人間少ないと思うのよ」
「確かにそれを基にした作品はいくつかありますが」
「それに美しさで男に貢がせるのは一般庶民でもやってるじゃない。だから私の行動もそんなに避難されることはないはずよね」
「そのようなことをしたものは軒並み大変な目にあっていると思います」
「とにかく私が言いたいのは私もちやほやされたい!」
「はぁ……。姫様のことを慕っているものはこんなにもいるじゃないですか」
「たしかにあなたたちは従順だし私のわがままも聞いてくれる。でもウサギじゃないあなたたち!」
「そうですね」
「わたしは!にんげんに!ちやほやされたいの!」
「人間でないといけない理由がなにかあるのですか?」
「あいつらは欲望の塊なの!そんなやつらが私を巡って走り回るさまが醜くて最高におもしろいのよ!」
「そんなこといってるからひどい目にあいそうになるんですよ。あの時も一歩手前でわたしたちが来なかったらどうなっていたと思ってるんですか」
「それはちょっとは反省してるわよ。でもあの時の愉悦も忘れられないの!」
「姫様がそうおっしゃるのでしたら私たちは無理には止めません。しかし姫様の身を危険な目に合わせたくもありません」
「そりゃ私だってなるべく危険な目にあいたくはないわよ」
「ですので一つ場所を提案させていただきます。それは」
「それは?」
「『オタク』という人種が集まるサークルです」
「あー、確かに一般人よりも簡単に釣れて色々なことができそうね」
「えぇ、なおかつ一線を越えるまでのラインが長くなっていますので姫様も比較的安全かと」
「よしそれじゃあ地球にいって人間どもを引っ掻き回すわよ!準備して!」
「かしこまりました」
こうして非常に厄介なかぐや姫が地球に降り立つことになりました。
かぐや姫は人間以上に欲望を抱えながら。兎はただただ従順に姫様の願いをかなえるのでした。
これはかぐや姫とウサギが現代の人間と関わって変わったり変わらなかったりする物語。
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