2020/06/14

 「君たちは、小学生かい?」

 「え、あ、はい」

 予想外の問いかけに、彼は面食らったような顔をする。

 「昔みたいに、遊ぶ場所が減っちゃったからな。この小さな公園で野球をやるってのも、分からなくはないんだよ」

 遊び場所が減った話は、両親から聞いたことがあった。

 年々近所の公園にはマンションが建つ様になっていき、今やこの小さな公園しか遊び場所がないのだ。

 「だけど、やっぱり人のものを壊しちゃったら謝らないといけない。それは、どんなことにも言えることだよ」

 ドキリとした子もいたことだろう。そのまま知らぬふりをして逃げようとしたからこそ、老人のこの言葉は心に突き刺さっただろう。

 「だから君たちがこうやって謝りに来たのは正しいこと。逃げたい気持ちを抑えて来たのは偉いことだよ」

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