異世界に迷い込んだ小説家志望のネタ帳
武海 進
1ページ目 自己紹介
初めまして、僕の名前は里中京太郎。二十歳の小説家志望という名のフリーターです。
今僕は異世界のお店、魔法の薬から武器、防具まで何でもそろうドルーフ商店で働いています。
さて、僕が何故異世界のお店で働くことになったのかということをお話ししましょう。先ほども言った通り僕は小説家志望で、毎日小説のネタになるものを探していました。
そんなある日、ネットで偶然見かけた神隠しの噂がある神社に興味をそそられ、行ってみることにしました。
目的の神社はかなり田舎の山の中にあり、来るだけでも半日かかりました。ですが、神主も居らず、長いこと参拝客が訪れた様子も無くかなり荒れ果てており、神隠しについてとても調べられるような状態ではありませんでした。
半日を無駄にしたことに落胆し、帰ろうとしたとき、急に辺りが深い霧に包まれ、完全に何も見えなくなってしまいました。おまけに携帯は繋がっていたはずなのに霧の発生と共に圏外になり繋がらなくなってしまったのです。
なんとか方向感覚を頼りに歩きだしたものの、一向に山を下り事はできず、おまけに日まで暮れてきて本格的に遭難を覚悟したとき、少し先に明かりを見つけました。
地獄に仏とはまさにこのことだと思い、明かりに向かって歩き出しました。明かりに向かって歩き出すと、相変わらず霧に包まれてはいるものの、少しずつ周囲が明るくなり、街灯のある所まで降りてきたのかと思い始めた時、遂に霧から出ることができたのですが、目の前には想像もしていなかった光景が広がっていたのです。
そこに広がっていたのは山に入る前に見た日本家屋が立っていた山村ではなく、まるで中世ヨーロッパのような街並みだったのです。
「う、嘘だろ、なんで日本の山奥にこんな町があるんだ。夢でも見てるんじゃないよな。」
確認するために頬を思い切り引っ張ってみるもののただ痛いだけ。なんとかこの事態に納得のいく理由を見つけようと頭を悩まし、狐に化かされているのではと考え始めた辺りで、あても無く山中を彷徨った疲労も手伝い、脳がパンクしてしまい、その場で意識を失ってしまいました。
「う、うーんここは?」
意識を取り戻すと、見知らぬ天井が広がっていました。
「おや、目が覚めたみたいだね。言葉わかるかい?」
僕に話しかけてきたのは長い金髪を無造作にポニーテールにまとめ、化粧っ気はないが整った綺麗な顔、そしてナイスバディをオーバーオールに押し込んだ女性でした。
「わかります。ここは何処なんですか?」
「ここはハジュムの街さ。それでここは私と亭主でやってるドルーフ商店の空き部屋。あんた、朝店の玄関開けたら店の前に倒れてたんだよ。」
「そうだったんですか。介抱してもらってありがとうございます。」
「いいってことさ、困ったときはお互いさまってね。それであんた名前は?どっから来たんだい?」
「里中京太郎と言います。ここってテーマパークか何かですか?というか日本のどこですか?」
「テーマパーク?さっきも言ったろ、ここはハジュムの街。でもニホンなら分かるよ。」
「本当ですか!」
「ああ、7、80年前に来た迷い人がニホンから来たって言ってたよ。あんた、ぶっ倒れる前、霧に包まれて道に迷ったんじゃないかい?」
「そうなんですよ。あの?迷い人ってなんですか?」
「ここらに昔から伝わる伝説でね、10年に一度、何も見えなくなるほどの霧が出る日、世界と世界が繋がって、出歩いてると違う世界に迷い込むって話。伝説っても実際霧が出る日に出歩いたやつが行方不明になったりするし、逆にこっちに迷い込んでくるやつもいる。そんで迷い込んで来た奴を迷い人って言うのさ。」
「えっとじゃあ、僕って違う世界に迷い込んじゃったって訳ですか。あの、元の世界への帰り方って知ってます?」
「アハハハハハ。悪いねえ、聞いたことも無いよ。」
「そんなあ、いったいこれからどうすれば。」
霧に包まれて遭難して気が付けば異世界。おまけに元の世界への帰りかともわからないとは、正にお先真っ暗とはこのこと。
「じゃあうちで働くかい?こないだ一人だけいた従業員が田舎に帰っちゃって人手が足らなくて困ってたんだよ。住み込み三食おやつ付きでどうだい?ちゃんと給金も出すし。」
「いいんですか!是非お願いします!」
「よしじゃあ、契約成立だ。これからよろしくなキョウタロウ。キョウタロウってちょっとながいからキョウでいいかい?」
「あ、はい。こちらこそよろしくお願いします。」
こうして始まった僕の異世界ライフ。さすが異世界だけあって体験すること、聞く話、すべてが知らないことだらけ。そこで僕は思ったのです、ネタ帳として見聞きしたことを纏めておけばいつか元の世界に戻った時、小説として発表できるのはではと。
皆様、ネタ帳で色々とまとまりなく纏めたもので良かったら是非、読んでみて下さい。
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