第149話 菜の花


その川沿いに咲く

一面の菜の花を見て

ああ、終わってしまう、

そう思ったんだ


四月をはじまりとするこの国で

春の訪れはスタートであり

何かの終わりでもある


それなのにこの手には

何も残されてはいない

空っぽの手のひらのまま

終わりゆく季節を感じている


ああ、終わってしまう

始められてさえいないのに

思い残すことさえ

何も分からないままで


まぶしいほどに揺れる黄色は

サヨナラを告げるようで

応えることもできぬまま

呆然と川辺に立ち尽くす


川の流れを聞きながら


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