第148話 小さな私を抱きしめて


心の中の小さな私が

ほしいほしいと泣いている

一体何がほしいのかと

問いかけてみても分からずに

ただカラカラに渇いている

この胸がどうにも哀しくて

モヤモヤうずまく不確かな

思いのやり場に困っている


心の中の小さな私が

寒い寒いと泣いている

どんなに暖めようとしても

ぬくもりだけが伝わらず

目の前に灯る柔らかな

灯りに手を伸ばそうとして

決して触れることのない

それを一心に見つめている


心の中の小さな私を

どうにかこうにか抱きしめて

暴れだしそうな感情を

撫でてなんとか宥めすかし

足りないものを埋めるため

どことも分からぬこの道を

ただ無心でひたすら歩く

これでいいのだと信じて歩く


私にはこれしかできなくて

やれることをやるしかなくて

きっと渇きも癒えるだろう

きっとぬくもりを知るだろう 

それだけを信じて私は進む

小さな私を抱きしめて


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