第132話 夜の欠片


誰のものでもない夜に

焦がれ求めて追いかけて

それでも掴めたのは

一握りの欠片だけ

そんな夜の欠片を

抱きしめ眠る午前2時


聞こえる音はせつなくて

きゅっと掴んだブランケット

とろり訪れる微睡みに

こわばる体を明け渡す


きっと夜を求めるのは

誰より自由でありたくて

誰より独りを怖れるから


やがて訪れる始まりは

カーテンの隙間から覗く青

まだ肌寒い3月の朝

ベランダは雨の匂いがして

独りじゃないような気がした

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