第68話 一番星
風に転がる落ち葉を
踏まないように歩く
夕暮れの帰り道
群青色が空に迫る
満ちてくる静けさを
寂しさと思いたくなくて
いとおしむかのようにそっと
冷えた指先を包んだ
過ぎていく季節はどうして
こんなにも儚い
伸ばした手の間から
時だけがこぼれ落ちて
悼むように祈るように
見送る視線の先に一番星が光る
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