第47話  静寂




頭の中鳴り続ける声をなんとか殺して

鈍い頭痛をやり過ごし静寂に身を沈めた


ああ何もかもが溶けてしまいそうな夜だ


それでもこの僕を責め立てる声は止まず

鈍痛はいつしか鋭い錐のように脳を突き刺す


ああこれはきっと殺意に近い何かだ



だってこんなにも僕は僕をコロシタイ



見上げた空は濃密な闇に覆われていて

静かな闇を泳ぐ僕は圧倒的に独りで

ほのかな寂しさと強烈な自由を手にいれる


ああ何もかもが溶けてしまいそうな夜だ



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る