第35話 三日月
手を伸ばしている
決して届かない場所へ
それは不毛なことだけれど
そこに悲愴感はなくて
ただ差し伸べたいの
この手を指を、まっすぐ
ただまっすぐに伸ばして
触れられないと、また知って
三日月の雫が
指先を金色に染めて
それだけが手を伸ばしてしまう
理由なのかもしれなくて
堕ちてきた月の影を
なんとなくもてあそんで
ああ、きっとまた触れたくて
届かない光に手を伸ばして
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