第26話 混沌

これを混沌と言うのだろうか

暮れていく空を見ながらそんなこと思って

大好きなのに大嫌い

大切なのにめちゃくちゃにしたい

そんな正反対の思いでぐちゃぐちゃになって

消えていく淡いオレンジ色に

ああ、このまま溶けてしまいたいなんて

現実逃避に近いことを夢見て

尾を引く夕焼けもだんだん濃紺に飲まれて

帰りたくないこの夕闇に

現実は帰らなければならなくて

なんて生きづらいこの世界

見えない敵はすぐそこまで迫って

いっそそちら側に堕ちてしまおうなんて

そんなシナリオ通りに事は進まず

暗い影を落とす大きな街路樹の傍らで

心は静かに訪れる夜を受け入れた

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