第26話 依頼人の代理人
この青年と 手紙の内容から 判断して
彼は 依頼人の 代理人らしい
そんな役目を 勤められるとは
よほど 信頼されていると 見える
風呂場に いたそうだが
愛人か 何かだろうか
今は 仕事が先だ
詮索するのは やめておこう
手描きの 地図も 同封されていた
広げて だいたいの位置を 想像する
歩いて行ける 距離ではなかった
しかも とにかく 山深い
「お兄さん、これから何か調査に関する予定はありますか? 俺、この大男が住んでた場所に、心当たりがあります」
青年は 胸を どんと叩いた
「何を隠そう、この地図に描かれてる場所、ずばり俺んちなんです」
予想外の 答えがきた
「俺、画家やってまして、そのアトリエがここなんですぁ」
画家とは
油絵などを描いて
生計を立てている
芸術家のこと で合っているだろうか
「ええ。うちはたしかに昔、殺人事件があった物件でしたよ。うちの親が安く買い取って、養鶏所にしたんです。まだこの地域が発展のハの字も進んでいなかった頃の、貴重な栄養源だったんですよ」
そんな歴史が
「まあ、鶏たちには気の毒なほど劣悪な環境でしたけどね」
どんな 幼少期だったのかは
聞かないでおくことに した
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