第18話 社交会と舞踏会。
貴族第4席のセンテ侯爵が終わると、次は第5席の我が家の番だ。
母上は5割増しの30曲を用意し、最初の1曲目から30曲目までパートナーを変えて踊り続けさせられた。
これで平均すると舞踏会で10曲ずつ踊ったことになる。
それって必要なことですか?
我が家終わると10席まで順番に舞踏会を開催してゆき、上位の10家の舞踏会が続く、その間にも母上は他の社交会に参加してタフなことだ。
10家が終わると中級貴族の舞踏会が解禁され、各々で舞踏会を開催される。
母上の御友人、ライバルであった貴婦人方の舞踏会に呼ばれて、ダンスを披露しなければならない。
優雅に踊らないとお叱りを受けることになる。
「姉様、社交会には僕たちは随行しなくてよろしいのですか?」
「社交会は大人の舞踏会とでも思っておけばいいわ」
「なるほど、未成年の僕らは呼ばれないのですね」
正確に言うと少し違う!
この世界では、関係する者達だけで集まるのを社交会と呼んでいる。
会社で言えば、会社主催の新年会のようなモノだ。
社員とそのご夫人しか参加できない。
父上の場合、10貴族会、内務会、猟人会、遊戯会、遊軍会、そして、新設の南方会に出席する。
後半には商人を招いた南方交易会の社交会もあるが、母上から私の参加を禁止されている。
主催者の会頭は私なのに!?
「未成年が社交会デビューなんて、笑い種を提供することは許しません」
会頭代理にして父上と母上が参加する。
未成年が最初にデビューする社交会は、学園の生徒しか参加できない貴族学園が主催するパーティーと決まっている。
これは母上の絶対命令だ。
つまり、
社交会は身内の親睦を高めるのが目的で、舞踏会は集団のお見合いパーティーと思うのが正しい。
貴族の結婚は学園卒業後の17歳が普通とされる。
20歳過ぎて独身なら変人扱いだ!
貴族学園は集団のお見合いの場所であり、学園を卒業するまでに婚約者を見つけないと、男性は将来が展望できない落ちこぼれ、女性は体のどこかに
その点で私は第一王子の婚約者という超ブランド品のお相手を持っている。
完璧な淑女よ!
「どこかですか! 私はお茶会に誘われる度にエリザベートの笑い話を聞かされるのですよ。淑女と思っているなら淑女らしくしない」
「わたくしのどこがいけないと言われるのですか?」
「エリザベートがやっていることすべてです。先日は長官方々を言い負かしたと聞きましたよ。聞いているだけで恥ずかしく、どこかに隠れたかったです」
先日、王宮に出頭命令が下った。
出頭すると南方大臣(父上)を支える長官らが南方交易所の会頭を改めて選出すると言ってきた。
「承知致しました。ところで大司教様への報告はわたくしがした方がよろしいのでしょうか?」
「何故、そこで大司教様が出てくる」
「南方交易所の融資の多くは教会の司教様方々でございます。司教様方々は大司教様にお願いして、わたくしを会頭にするようにお命じになりました。その大司教様の顔を潰すことになりますので謝罪に行かねばなりません」
「ジョルト様、聞いておりませんぞ!」
「儂も知らん」
「当然でございます。大司教様が御指名になさることは異例でございます。くれぐれも
頭ごなし叱れば、言うことを聞くと思った小娘は大司教の後ろ盾を持っていた。
大司教に命令できるのは国王くらいだ。
大司教を怒らせれば、長官の首なんて簡単に飛んでしまう。
ははは、どうだ!
大貴族が介入できないように大司教に金を貢いだ成果だ。
家令のヴァルテルの言った通りにして大正解でした。
長官如きでは私を止めさせることができないんだよ、べぇ~~~!
「不当な利益を出しているという疑いが掛かっておる」
「帳簿はすべて会員に公開しております。つまり、会員である司教様方々も不正に関与しているとおっしゃるのでしょうか?」
「そんなことは言っておらん」
「そもそも魔石を売買しているのに、魔石に一文字もないのがおかしいではないか!」
「御存知かもしれませんが…………」
商人イレーザのブルグ商会は聖ミレス王国の所属だ。
聖ミレス王国では魔石は不浄なモノとされるので帳簿に魔石などと書けば、商人イレーザの交易特権が失われてしまう。
帳簿には魔石と書かずに、屑金石と書いてある。
「これが不正と申されるのならば、商人イレーザに申し付けて魔石を書かせるようにいたします。しかし、その際、聖ミレス王国から交易特権を奪われる可能性がございます。もしも香辛料が入らなくなりましたならば、センテ侯爵(貴族会議3位)、エスト侯爵(貴族会議4位)方々に御説明頂けると言うのでしたら、すぐに訂正させます」
「そんなことができる訳がないであろう。我々を愚弄するか!」
「できないことをやれなどと言っているのはそちらでございます。また、農地改革は我が方が提案しているだけでございます。実際に行うのは領主様でございますから、御命令は御領主様にやって下さい」
「できるか!」
「できないことを言われましても困りますわ」
「そもそも、その金はおまえが出しているのだろうが!」
「いいえ、わたくしのお金ではございません。交易所のお金でございます。交易所のお金は各領主様や商人らは融資したモノでございます。王宮からご融資がございますれば、10年後には倍にして返すことをお約束致します」
「ここで商売をするな!」
「申し訳ございません」
私は頭から湯気がでそうな長官らをにっこりと微笑み返した。
長官らをやり込めた。
8歳の少女が
私、悪くないよね!
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