声劇台本4人用「預言者と助手」

コペル

「預言者と助手」


男女不問


A:なぁ…こんな話を知ってるか?


B:どうせまた、突拍子の無い話だろ?


A:そう言わずに、少し聞いてくれ


B:そこまで言うなら、聞いてやらん事も無いが、なんせ酒がない…聞きながら用意するから、話してくれ


A:あぁ良いとも、ここから少し離れた街で、奇妙な二人組が居たんだ…


C:さぁさぁ、お待たせ致しました!

今日も皆様の運命を、司るのはこの私

預言者「C」でございます!


D:さぁ、勇気あるそこの殿方!

何々?自分の運命を知りたい…と!


A:その勇気ある殿方って言うのが…私の友人だったんだ


B:ちょっと待ってくれ…ここに酒があったハズなんだが……あぁ、あったあった


A:ちゃんと聞いてくれよ!


B:悪い悪い、それで友達がなんだって?


A:それが…


C:おや?なるほど…なるほど…


D:知りたい事は…自分はあと、どれくらい生きられるか?……本当に良いんですね?


C:見える、見えるぞ!残念ながら、お前はもうすぐ死ぬ…明日の夜明けまでにな!


B:そんなまさか、適当に言って客を怖がらせるショーなんだろ?


A:それが…どうやら本当に死んでしまっ…いや、誰かに殺されたんだ…


B:なっ!?そんなの、明らかに怪しいじゃないか!


A:だろ?だから勿論警察も疑ったんだが…


D:おや?どうしたんですか刑事さん?こんな朝早く…まだコーヒーも出来てませんよ?

…何々?昨日の預言が当たった?まさか…そんなハズ…何故って…あの預言者は…人形ですよ?


C:………


D:ほら、あれは私が作った音声を、タイミング良く流しただけ…預言者なんて、最初から居ませんよ


B:ますます怪しい…どうもキナ臭いな


A:そうなんだ!だから、友達の無念も晴らそうと、調べたんだ…そしたら…


B:何か、わかったのか?


A:パートナーが、狙われた…


B:なんだって!?


C:あなたには、なんの恨みも無いが、私達の事を、こそこそ嗅ぎ回ってる、あなたの恋人が悪いんですよ?


D:せっかくのビジネスを、邪魔しないで貰いたい…


C:では、さような…うっ…


D:おい!?


C:なっ……息がっ…出来………


D:「C」!?おい!?起きろ…起きろ!


B:まさか…死んだのか…?


A:パートナーの目の前でな…医者曰く、心臓麻痺らしい


B:もう1人は?


A:それが…この街に居るんだ…


B:なんだって!?


A:逃げた所を捕まり、ここの精神病院に収容されてるんだ


B:捕まってるなら、安心だな


A:それで…相談なんだが明日、その病院に一緒に行ってくれないか?


B:なんでまた、わざわざ会いに行くんだ!?


A:知りたいんだ!何故友人を殺したのか、私じゃなく、パートナーを選んだのか!


B:そこまで言うなら…仕方ない、でも…手続きはどうする?


A:もう申請してある、明日の10時、二人で面会に行くと


B:最初から断れない相談だったワケか…


A:すまない…


B:わかった、じゃあ明日の10時、病院前でな



A:すみません、ここに「D」という患者は居ますか?


C:患者の個人情報を知ってるのは、院長だけですので、院長とお話下さい。事前に予約はお取りですよね?


B:それなら「A」が申請してます


C:では、ご案内致します


A:お願いします


B:院長だなんて、なんか…随分、仰々しい事になってないか?


A:命を狙われたんだから、仕方ない


C:こちらです、(コンコン)


D:お待ちしておりました


A:あなたが…院長!?そんなっ


B:おい!?どうした…


D:いったい、何を驚かれてるんです?


A:見間違うハズが無い…この人が、こいつが…あの時逃げた「D」だ


C:さっきから、何を言ってるんですか?この人は院長ですよ!?


D:何処かで…お会いしましたか?


A:しらばっくれるな!


B:ちょっと待ってくれ…いったい何がどうなのか、説明してくれ


A:わからないのか…?


C:良くわかりませんが、先生と良く似た、誰かと間違えてませんか?


D:他人のそら似か…興味深い


A:そんなハズ無い!


B:良いから…少し落ち着いてくれ


A:お前も…信じてくれないのか?


B:信じるも何も、証拠も根拠も無いだろ?


A:ちょっと待て…コレは!?


C:勝手に先生の書物に触れないでっ


D:おや?懐かしい、そんな古い本が何か?


B:その本に何が書いてあるんだ?


A:これは…これには、昔…とある預言者と助手が行った、犯罪を記した日記なんだ!


B:それが…どうしたんだ?


C:院長…


D:大丈夫だ、何も心配する事は無い


A:いいや、あんた達二人は、この本に心を奪われてる


B:何を言ってるんだ?


A:最後まで聞いてくれ!この二人は、この本に出てくる、預言者と助手になりきり、犯罪を繰り返してるんだ


B:自己催眠ってやつか…


D:馬鹿馬鹿しい…そんな事、ある訳無いじゃないか!


C:そうですよ!それに、それこそ証拠も無いのに、出鱈目ばかり並べて…


A:証拠?証拠ならあるさ…ここから2つ離れた街に、死体がね


B:本当、なんだな…


A:ああ、勿論だ


D:そんな…まさか……証拠が残ってるなんて…


C:院長!?


D:ダメだ…もう、逃れる事は出来ない


C:上手くやってきた、つもりだったのに…


D:君は悪く無い…多く欲張った私が悪かったんだ


A:自首して下さい


B:良いのか?友人の仇だろ?


A:良いんだ…これから罪を償ってくれるなら、アイツも浮かばれるさ


D:すまなかった…いや……止めてくれて、ありがとう


C:私も…償います…これから一生を掛けて…



A:ふぅ、これでやっと安心して、生きて行ける……なっ!?アイツは…預言者!?

それに、あの時の助手!?どうして…自首したハズだろ…


B:なぁ…先生……アイツは治りますか?


C:どうでしょう…でもようやく病名が、わかりましたから


B:いったいなんの病気なんです?


D:あの人は「偏執病」なんだ…私達を居もしない、謎の預言者と助手などと、思い込んでしまってる


B:それは…治るんですよ…ね?


D:ハッキリとは言えない…

だが治療法は見つかったよ


A:もう一度…二人に話さないと…


fin
























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

声劇台本4人用「預言者と助手」 コペル @gadomoroha

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ