〔短編集〕いつかの私たち
あずま八重
悩んだらこちら
私のステキな夜のとも_221102
「ちょっと抱きしめてもらっていいですか?」
――いや、苦しいのは心のほうか。抱きしめ具合に不快感はなくて、むしろ心が軽くなっていく感覚が心地よかった。
「ねぇ、真倉さん」
呼びかけると、首をかしげるカワイイ
「ありがとう……来てくれたのがアナタでよかった」
照れくさくて腕の中に
真倉さんは〈抱きまくら〉だ。数年前に売り出された〝抱きしめてくれる〟ほうの抱きまくら。だから、彼にはカカシのように長い腕がある。
会話のできる上位モデルは思った以上に高
「生身の男なんて
振られるたびにそう
ぎゅうと抱きしめられたまま、トロリと眠りに落ちていく。明日もいつも通り、スッキリ目覚めて仕事に行けるだろう。
ずっと大切にするからね。
そう胸の内でつぶやきながら、ステキな夢への扉をくぐった。
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私のステキな夜のとも
〔2018.05.03 作/2022.11.02 改〕
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* エブリスタの『超・妄想コンテスト』、第76回「優しい嘘/悲しい嘘」と第75回「眠る」に応募した作品。
* 聞いた話によると、自分で自分を抱きしめられるガジェットは現実に開発中らしいので、近い将来〈真倉さん〉が誕生する日がくるやもしれませぬ。姉妹作として毛布を擬人化したいなぁとネタだけ残して実現していないので、それを創作する活力を〈真倉さん〉からもらいたい。(2020.03.02)
* Writoneが閉鎖した関係で再投稿を…と思ったら公開済みだったのでついでに改稿。大きくは変わってませんが、少し厚みみたいなものが出せたかなと思ってます。(2022.11.02)
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