第1話 社の鳥籠
千春さま〜千春さま〜、周りは慌ただしく、千春は訓練をサボり逃走中、周りの巫女はあの神様見習いの前世は猪やら猿とか呼んでいる。
「へへーん!悔しかったら追いついてみなさいこの私に!」
千春は、お目付け役の巫女に追いつかれないように距離をとる。
「まったく!飛んだり跳ねたり突進したり。」
お目付け役の
「前世は絶対に猿よ千春は!」
今日は神体術の訓練の日だが、千春さまは嫌気が指して逃げ回っている。
何度も何度も訓練通りにやっても成果が出ない、
周囲からはダメ神見習いと呼ばれ、後ろ指をさされている。
「私が努力したって、なんの成果も出ない言ノ葉も出来ない!」
ボソリと呟き、千春さまは逃げ回って神体術の訓練をサボってしまった。
深夜に部屋に戻りこっそりと訓練着に着替える
巫女装束の様な格好で脚の部分はヒラヒラする部分を絞ってあり、手首の部分も同じ様に絞ってある特殊な服になっている。
訓練所にこっそり入りこみ訓練をする。
神さま見習いは専用の神具が存在するが千春さまには何を使ってもしっくり来なかった。
「私に合う神具がないんだよね、何か奥にあるぞ!何だろ?」
訓練所の奥に封と貼られた箱を見つけ千春さまは
封を言ノ葉を唱えゆっくりと剥がしてゆく。
箱を開けるとボロボロの篭手が出てきてポウと赤い光を放つ。
「何これ?私に反応している」
ボロボロ篭手はゆっくり光が収まっていくと紅色の篭手になる。
「ちょっと、試してみよ!」
先ずは1の舞、静かにゆっくりと扇子を持つイメージで神楽舞のオリジナルだが、身体が篭手のイメージを勝手に舞ってしまう。
「何これ!すっごく相性がいい神具じゃない。」
後は威力が出れば問題ないのだが、篭手が紅色と言うことは炎がイメージされて、神楽舞の炎舞を舞うと、神具は赤く光用意されている、木偶人形の頭部を軽く押すとボンと転がっていく。
木偶人形すら壊せなかった自分がやっと、篭手のおかげだが壊せた自分に恍惚を覚える。
やっと、一歩前進と喜んでると警報機が作動しブッーブッーと鳴り響き、千春さまは、ひとまず自分の部屋に箱と篭手を持ち帰ってた。
千春さまの部屋にはテレビはなく漫画本は大量にあるのだが外の情報がいっさい、はいって来ない
部屋で窓もなく、ただただ本からの情報が頼りであった。
「はぁー恋人欲しい、と言うかここに居てできるのか?いや無理だろ。」
千春さまは床に寝っ転がった状態で、少女マンガを読みながらポテトチップスを食べていた。
「あ!ここに居た千春さま、なんてはしたない格好をしているんですか!神さま見習いなのでもっと品のある格好を……」
はじまった!仮にも神さま見習いだから、そんなに怒る人はいないと考えていた、矢先この
「はーい、片付けしますよ!食事前に間食、ふふふ太りますよ千春さま!」
人差し指で千春さまを指し指摘する
普通じゃない、
「わかったよ。今から片付けする!」
自分が悪いのに目くじらをたてて、怒る千春さま
そんな、しぶしぶ動く千春さまを観て、にっこりと笑顔を作る
「分かれば宜しい!今日は言ノ葉の練習をしますよ!訓練所に行きましょう、千春さま」
しぶしぶ、動く千春さま。可愛い、多分逃げるんだろうな……
「わかった!今日はちょっと試したい事があったんだ。」
なんと!!ふつうに逃げ回って居たのに、今日に限って逃げない?
「今日はやたらと素直ですね千春さま?」
見慣れない箱と篭手が転がっていて、そこに眼が行く
「千春さま!これは?この神具は何ですか?」
「あつ!」
火傷まではしなかったが、かなりの熱量だった。
箱を見ると中に封と書かれた札が入っていて、説明書らしい物も中に入っていた。
「なになに?この神具は神の神力を奪い力にする理力の篭手使える者がいないので封をする、と書いてありますよ?使えたんですか!この神具?」
「ふつうに使えたよ!ちょっとしか使ってないけどね!」
「疲れたり、身体に異常はないですか千春さま?」
「ないなぁ〜ただ!かなりお腹が空くだけ」
ポテトチップスを完食、いつの間に?
「とりあえず、長老さまに報告をしなきゃ!」
そう言うと、言ノ葉を唱え神力を眼に集め千里眼を発動する。
「長老様!千春さまが理力の篭手を使ったそうです。発動後、何の異常なしとの事です!ただお腹が空くだけと。」
千里眼を発動させると映像が壁に出て来て大変便利だ。
「ふむ!理力の篭手を使う者が出てこようとは篭手の色は何色じゃたか?」
髪が伸び真っ白の白髪で染まり、服は巫女装束で統一されているようだ、表情はわからないが色を聞いてた。
「紅色です、何か特別なことでも……」
話が長くなりそうなので千春さまはこっそりとその場を後にし訓練所に向かった。
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