第1話煌びやかな光の影では Crawford view

私の名前はクロフォード·レスト。

レスト公爵家な三男だ。

陛下の元で、近衛騎士団団長をしている。

人呼んで、「氷の王子」、「氷の騎士」らしい。

何故そんな二つ名がついたのだろう………?

確かに、ベタベタと化粧品を塗りたくったしつこい令嬢は何度も拒絶しているが。

特に、先日正式にレスト公爵家の次期当主に決まってからは、毎日毎日求婚の手紙やらなんやらが来る。

正直言って邪魔だ。


だが、転機が訪れた。

3日前ほどにあった、フレア王国王女歓迎の夜会。


目の前を、栗色の髪の少女が横切った。

ふわっと、甘い香りがする。


この国では、栗色の髪は珍しくもなんともない。

だが、何かが違った。

不思議に思って、壁の花へと化した少女に目を向ける。

ドレスは、正直大丈夫だろうかと心配になるくらいのものだった。

美しく輝くシャンデリア。

それに見事に同じ色で染った黄色いドレスを着ている。

どこにいても全く目立たない。

髪の色は、さっきも見た通り栗色………

ん?

毛先が、少し光っているような……

少女の髪は、シャンデリアの光を受けて、毛先の方だけ見事な輝きを見せている。

金髪の上から栗色に染めている?

でも、結構可愛かったな。

だが、少し考え込んでいるうちに、いつの間にか少女は消えていた。

もう帰ったのか?

早いな。


夜会なんて、いつも退屈だった。

やってくる令嬢を適当に捌き、騎士団員と話すだけのつまらない夜会だったが、次からの夜会はそうでも無さそうだ。

せっかくクリスティン以外で興味を持った女性なのだ。

少し、詮索してみるか。


こうして、私は少し、夜会が楽しみになったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る