異世界に転移したら用心棒になったので、とりあえず邪魔する奴は潰します。

Leiren Storathijs

プロローグ

俺の名は荒神あらがみ まこと。もう学校という弱き者が集まる場所を卒業し、自分の武を極める為に二十歳になっても無職で、ただ自分の部屋で筋トレをしている。


家には、ただ一人親父がいるが、今日は休日らしく出かけていて今は誰も居ない。こういう日は最も自分の事に時間を費やせるとても良い時間だと俺は思う。


誰にも邪魔される事なく、ただ自分の身体を鍛える事が出来る……と言っても俺にそんな身体を鍛える為の専門知識がある訳も無く、家でやる事は腹筋と腕立て伏せだけ……。


それでもそれなりには筋肉は付いており、学校に居た時よりは力は強くなった気がする……。だが俺は……今日という日は何故かイライラが溜まっていた。瞑想しても収まる気配が無い。ここまで溜まるのは過去初だろうか……。


俺はただその何とも言い難い苛立ちで握り拳を作り、ストレス発散をする為に、自室の壁を助走を付けずに勢いよく殴った。


「ふんっ!」


薄いコンクリートに白い無地の壁紙が貼られたその壁は、俺が殴った所からゆっくり放射状にヒビが入っていき、それはみるみると直径2m程まで広がり、直後、壁は外側へ崩れ落ちる。


お陰で俺の苛立ちは漸く治ったが……少しやり過ぎだかとも思った。しかし、そんな感情も打ち消す物が壁の中にあった。


紫と黒色の絵具が入り混ざった様な、禍々しいオーラを放つ渦。少し近づくと若干引き寄せられる様な重力を感じる。ゆっくりと手を差し出すと、俺の手はすんなりとその渦に呑み込まれる。


どうやら何かの穴の様だ。いつからこんな物が家にあったのだろうか……。俺は、何故かその穴の中がどうなっているのか興味が湧き、穴の引き寄せられるがまま、俺は、黙ってその穴の中へ入っていった。


入ったら戻れないかも知れないという事も考えずに……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る