第12話


 怪獣が火を吹いてきた。夢見は妖精さんを握って逃げた。


 でも、夢見のお尻に当たった。


「あぁっつい!!」


 酷い。お尻が焦げちゃったよ。

 これじゃお嫁にいけない。


「勇者ユメミ! ドラゴンは火属性です! 水か氷属性の魔法を!」


「そんなの知らないよ、に、逃げようよ~、こんなの勝てっこないよ!」


「勇者ユメミ、逃げてはいけません! ここで逃げてしまえば……貴女は——」


 わっ、地震!?

 すごく揺れてる。この山全体が揺れてるみたいに。こわいけれど、振り返ってみた。


 怪獣が、大きな火の玉を作り上げていく。


 あんなの当たったら、死んじゃう。



「し、死にたくないぃっ!!」


「勇者ユメミ!?」


 夢見は走った。

 夢の中だけど、負けちゃいけない気がした。


 水、何かないの、


 夢見の知ってる水の魔法、そうだ、ムリキュアアクアの技なら!


 怪獣が火を吹く。夢見に当たる。あつい、あつい、あつい、あつい、でも、


 逃げない!!


 両手を前に、そして、お尻をツンって突き出したポーズで、



「スプラッシュ~ビィーーム!!」



 やった、出た!!


 夢見の両手から水のビームが飛び出した。ビームは怪獣に当たった。


 た、倒したの?

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