第10話



 目の前にゴリラ。


「ゆ、勇者ユメミ!!」


「いたたた……くる、し……」


 ゴリラに握られてる。

 痛い、つぶれちゃう。


「勇者ユメミをはなしなさいっ! えいっ! やっ! この!」


 よ、妖精さんが頑張ってヒップアタックしてるけれど、だめ、びくともしない。


「ようせい、さん……」


「勇者ユメミ! しっかり! 負けてはいけませんっ! 魔王を倒して、ちゃ——」


 ドン!!


「きゃっ!」


 大変! 妖精さんが蹴り飛ばされちゃった!

 妖精さんの頭が後ろの木に刺さっちゃった。


 う、骨、折れちゃう。


 痛い、いたい、イタイ、


 死ぬのは、イタイ……


「こんのぉぉぉぉっ! 勇者ユメミをっ、はなぁせぇぇぇっ!!」


 妖精さんがゴリラの鼻の穴に突撃した。

 ゴリラは両手で鼻を押さえる。


「勇者ユメミ! 今です、やっつけちゃってくださいっ!」


「寝込みを襲う、えっと、よばいは駄目!」


「夜這いなんて何処でおぼえたんですか!?」


「ひる、ドラ、パァーーンチ!!」


「昼ドラーー!!」



 ゴリラはお星さまになりました。

 良かった。



 先に進むことにした。

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