――溺れる。その言葉から始まります。陸で生きているのに溺れてしまう。吐いても吐いても苦しくて。体の中に充満するそれを吐ききれなくて。息苦しくて――生き苦しい。目を引くその言葉が全てを表した作品でした。息を吐いて吸いたいだけなのに、どうしてこんなに息苦しい。陸に生まれた筈なのに、どうしてこんなに生き苦しい。どうかこの息苦しさを読んで欲しい。この生き苦しさを見て欲しい。とても素敵な作品です。
思わず自分と重ねて読んでしまいました。作中の心理表現が、読む人をその立場にすっと引き込んでくれます。