花は誰が為、愉悦に浸る

愛でられるのが当たり前

喜ばれるのが当たり前

持て囃されて持ち上げられて

咲けや咲けやと言われたのに

今日は静かに咲いている

足早な人たちばかり

毎年、撮影していた写真は今年もあるかい


夜、

黒に染まった鞠がたくさん成っている

他所様の家の庭に花開く何かがある

人の顔もわからない

もしかしたら花が咲いているかもしれない

ざわざわ騒ぐ声も

実は花がすれている音かもしれない

実は、実は、と考えて


今日の夢を思い出す

人の背中を、ずっと刺す、刺す、刺す

血が流れて、肉を切る感覚、ただただ

刺して刺して刺して肉を出す

実は、その人も花なのだ


夜の花は誰の為でもない

鞠をちぎって捨てても誰も見ない

花は誰が為に咲くならば

散らしてしまっても悪くない

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