第四章 その1 野山乃花 『シャケ転がる日常』
五月。
地元の公立高校へと進学した私。
入学後は当たり前のようにカーリング部に入部をした。
と言っても、
だから違和感もなく、私は
「お前、昼の度に
週刊誌をから目を離さず、壁にもたれかかって座っている
片手でページを捲りながら何とも器用に弁当をつついている。
時折
どうせ見ているのは、やたらと胸が大きい女性が写っているグラビアページだろう。
長門先輩は巨乳好きを公言して憚らない。
「良いじゃないですか。弱小男子カーリング部には人がいないんですから。
「あの、二人とも?
冷静なツッコミは山城先輩のものだ。
やはり弁当を食べている。
「もんじぃは
「俺は好きなものは最後に食べると始めから言っている」
長門先輩の隣には何故か写真部であるはずの伊勢原先輩までいる。
時折、「いやいや、このアングルは無いわ」だの、「目の光が強すぎる」だのグラビアに文句を言っている。
現在、男子
二年生はいない。
そして一年生が数名。
女子は多いが男子は少ない。
それがこの
突然、錆びた鉄製の
そして蝶番以上に大きな声が狭い部室に響き渡る。
「ハナちゃん、また
「
あまりにも大きな声に驚いたのだろう。
可哀想に長門先輩の箸から
「ッ三秒ルールッッッ!」
「さすがに止めなよ!?もんじぃ!」
追い掛けようとする長門先輩を山城先輩が止める。
「ほら、僕の唐揚げあげるから」
「神…神がおる」
二人の漫才めいた会話が微笑ましい。
部室入り口には長門先輩を驚かせた張本人、通称
そしてそれを半ば呆れながら見ているのが、扉を勢い良く開け長門先輩を驚かせた一年生の女子。
通称
入学当初から皆からそう呼ばれている。
あだ名通り学級委員長で、性格も委員長。
何処から見ても非の打ち所のない委員長だった。
…本名なんだっけか?
「ハナちゃん、
「練習メニューの相談じゃない?頼りにされてるねー」
私は小さなお弁当箱をしまうと先輩達に手をひらひらさせながら立ち上がる。
思っていたよりも悪くない。
そんな日常だった。
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