第三章 その2 野山乃花 『さぁ、願い事を言うがいい。ただし叶えるのはお前自身だが。』
伊勢原先輩たっての希望により、初詣に行きたいのだそうだ。
もちろん普段インドアな私は
案の定、旧軽井沢通りは人通りが多く、特に
私達はおそらくは「日本一有名なテニスコート」を見ながら神社に向かう。
正月も三日だと言うのに神社には行列が出来ており、私達は最後尾に着く。
「寒っい、ぞ、真紀!」
「
「お前、が!一番、浮かれて、る!だろ」
寒くて歯の根が合わずガチガチ震えながら長門先輩と伊勢原先輩が罵り合い、山城先輩がやれやれと肩をすくめる。
時刻は昼近いのだが、吐く息は白く、所々残っている雪が寒さをより強調させる。
外気温など知ったこっちゃないが、どうせ今日も一日氷点下だろう。
「ねぇ、ねぇ!おしくらまんじゅうしよう…って何よ!?その目は!もんじぃはともかく玲二まで!」
「いや、真紀ちゃん、さすがに僕も高校生でおしくらまんじゅうは…ねぇ」
味方だと思っていた山城先輩にまで
「いや、中学生だってやりませんよ?」
私が答えると、あからさまにがくりと肩を落とす。
時々、酷く子供だな、この人。
ようやく私達はお賽銭箱の前に辿り着き、各々がお賽銭を投げる。
もちろん私は神様にお願い事をする程の、真っ当な精神など持ち合わせてはいない。
とりあえず、今年の目標を心の中で宣言する。
“まずは高校受験を一発で決める。それで今年は二本は長編を書きあげる。もちろんBL小説だ。十万文字マスト、だ。後はカーリングだな。毎日の筋トレを欠かさず行い、体幹をもっと鍛える…”
私は長々と目標を心に刻む。
列を外れると社務所で見知った顔を見つける。
「ハナさん!明けましておめでとうございます」
後輩の
コイツに尻尾が付いていたら、今確実に振ってるだろう。
そしてその家族御一行。
二年程前に父親が再婚し、いきなり妹が二人出来たという苦労人。
真面目なのが取り柄だが、真面目
「そちらは…高校の
「うん、まぁ。今はゲーム仲間だ」
私が答えると黒崎は何故だか納得いかないような顔。
そういえば
まぁ、
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