第四話 稜へ
島主の屋形に
「海賊を討つために軍を編成中という報告は受けているが、それにしても規模が大きすぎるのではないか。島主直々に
使者の口上はつまり、
「お前ら、都から直々の遣いをあまり怖がらせるな。
「申し訳ございません。あの居丈高な振る舞いには我慢がきかず」
「儂に召喚命令が下るだろうということは、事前に言い含めていただろうが。これも天女の思し召しだ」
「それで島主様は、やはり召喚に応じられるのですか」
「やむを得まい。ここで応じなければ叛意有りと見做されて、やがて
「ですが
「せめて私と護衛百名の随伴はかないませんか」
「
むしろ
「儂が
島主から重要な任務を託されて、
***
「まさかこんな形で
父の船に忍び込んだ際にたどったときと同じ海路を、また船の上から眺めることになろうとは、
あのときは往路で早々に
そしてその帰りに空から降ってきたのが、今並んで甲板に立つキムである。
「リョウに着いたら、もしかして幻のローランともお目にかかれるかもしれないわね」
キムにそう声をかけられてもどんな顔をすれば良いのかわからないまま、
もっともお陰でキムから離れずに済むのだし、こうして憧れの
だがそこまで手放しに喜んでられるほど、
それ以上に
仮に
彼女の筆名と偶然同じ名前の人物がいる可能性は、もちろんある。ただ
これほどの偶然が重なっても無関係であると言い切ることは、
「『
キムの質問に対しては間違いなく言い切れる。この世に『
「『
「だとすると、誰か『
キムの言う通りなのだ。仮に
「せっかく
これ以上悩むのは御免だとばかりに、
「そうだねえ。どのみちリョウに着いたら多分、結構どたばたすることになるはずだから。のんびり観光は諦めた方がいいよ」
「……やっぱり
今やすっかり『大洋伝』の中身を思い出したらしいキムは、
「ひと悶着っていうかなんていうか。スイ、鬼ごっこは得意?」
どうしてキムはそんなことを尋ねるのか。やがて真相を聞き出した
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