第49話〜スノウ③

目がさめたら、まっくらだった。


さいしょはまだ夜なのかな、っておもったけど、口があけられないし、足も動かせない。


それにすごくせまいところにいるみたいだった。


あと、なんかゆれてる。


「いやぁ運が良かったですね。スノウリンガの採集依頼で、ついでにスノウウルフの子供が手に入るなんて」


「まったくだ。群れからはぐれたんだろうが、警戒心の強い親がいなくて、しかも警戒心の欠けらもないんだからな」


「でもいいんですかね?まだ子供でもモンスターですよね。街中に連れてっても問題ないんですか?」


「だいじょーぶ、だいじょーぶ。種類にも寄るが、モンスターの子供は高く売れんだよ。調教して従魔にする専門家を通すと多少金はかかるけどな」


「調教師って奴でしたね。他にもモンスターの研究をしてるお偉いさんに売り付けるのも、物好きな金持ちに売るのも許可さえ下りれば問題ないって。ま、許可が下りなくても殺して毛皮を剥げは酒代くらいにはなるだろ」


声がした。


なんて言ってるのかよくわからなかったけど、こわい。




それからすごく長くゆれてた。


たまにモンスターのなきごえが聞こえて、大きくゆれたり、ぐるぐるした。


いたかった。


いちどだけ明るくなって、四角い空が見えた。


3匹のモンスターがのぞきこんできた。


ちがう。


モンスターは服きない。


かあ様が言ってた。


よろいとかぶきを使うモンスターはいるけど、服をきてるのは人。


人はモンスターと同じくらい危ない。


何してくるか分からないから近づいちゃダメだって言われてた。


中にはいい人もいるって、かあ様は言ってたけど、この人たちはちがう。


わたしがふるえてるの、わらって見てる。


いやなにおい、する。


こわい。




また暗くなって、ゆれはじめた。


けど、しばらくしたら止まった。


話し声が聞こえてきた。


3人とは別の声も聞こえる。


また、明るくなった。


「これは…スノウウルフの幼体か?」


「そうそう、運が良かったよ。スノウリンガの木の根元でグースカ寝こけてやがった。調教師かお偉いさんに高く売りつけてやるよ」


「ちょっと待ってろ。原則モンスターの持ち込みは禁じられている。テイマーと鑑定師に観てもらってからじゃないと入れることはできない」


「ちっ、早くしてくれよな。リンガの鮮度が落ちちまうから他の二人は先に中に入れても問題ないだろ?」


何を話してるんだろう?


むずかしい言葉が多くて、よく分からない。


また、暗くなった。


けど今度はすぐ明るくなった。


すごく大きな音がして、放り出されて、気づいたら人がたくさんいるところにいた。


『私の妹をどこへやった‼︎人間ども!』

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