3分勇者の願い事

凛陰

カップラーメンを食したい!

かつて魔王を倒したともいわれている勇者は魔王を倒した報酬として1つの力を手に入れた。

でもそれは、天地をひっくり返す最強の魔法でもなく、どんなモンスターをも一撃で殴り倒せる力でもない。


現実世界に戻れるという力だ。


そもそも勇者は現実世界で寝ている時に異世界転移した異世界転移者であり、それから勇者になりチート級の力で魔王をねじ伏せ、その褒美として勇者はある1つの願いを叶えるべく1回だけ現実世界に戻れるという力を手に入れた。


そして、その願いとは


カップラーメンを食したい!



まだ現実世界にいた勇者はニートでゲーム三昧の日々を過ごしており、その時の主食はまさにカップラーメンだった。


勇者はその頃の味をもう一度味わいたかったのだ。


しかし、その力には一つだけ欠点があった。

それは現実世界に3分しかいれないこと。

まさにその条件はウル●ラマンと一緒でもあり、カップラーメンの待ち時間でもある。


このまま普通にカップラーメンを食べようと思ったらカップラーメンの蓋を開けた瞬間に異世界転移してオーマイガーになってしまう。


勇者は考えに考えた。

そして出た結論は


「そうだ、この本の作者にお願いすればいいんだ」


設定上は3分だが作者がカップラーメンを食べるところを書いたらこっちのもの、結局は作者が一番上の立場なのだ。


勇者は魔法やらなんやら使って作者の住む外の世界へとやってきた。

そしてこの本の作者、凛陰とやらを尋ねることにした。


勇者「お願いします凛陰さん、どうか僕のカップラーメンを食べるところを書いてください」


凛陰「そうは言ってもなー、設定上の3分は守ってもらわないと」


勇者「そこをなんとか!」


凛陰「しょうがない、設定上の3分を守っているかつカップラーメンを食べるところを書いてやろう」


勇者「ありがとうございます!」


勇者の交渉は成功した。

そして勇者は異世界へ戻ったあと、すぐに現実世界へと転移した。


こ、ここは?

目を覚ますと、俺は元の世界へと戻っていた。

ポテトの匂いが充満した部屋、至るところに置いてあるゲームのトロフィー、まさに俺の部屋だった。

服も鎧からジャージへと変わっていた。


「本当にこの世界に戻ってきたんだな」


俺はその懐かしい部屋に安心感を覚えた。

ふとある事を思い出す。


そうだ、カップラーメンを作らなきゃ


まず用意するものはカップラーメンとお湯。

俺は押し入れから保管してあるカップラーメンを取り出し、ティーポットでお湯を沸かす。

そしてカップラーメンに優しくお湯を注いだ。


そしてそこから3分待つこれでカップラーメンの出来上がりだ。


しかし俺は早くカップラーメンが食べたくて仕方がなかった。

なので俺は時間を進めるで3分、時間を進めた。

そしてカップラーメンの蓋を開ける、そこから美味しそうな湯気が出てきてヨダレがじゅるりと出て来た。

念願のカップラーメンがついに食べれる。

そして口に入れた瞬間もちっという感触がした。


もち?


もしかして、こ、これは


赤いきつねじゃねえええかあああ!


そうこう突っ込んでいる間に、気づいたら異世界へと転移していた。


カップラーメンも良いが、カップうどんも捨てがたいと思った勇者であった。







凛陰「よし、これでカップラーメンを食べるところを書いているかつ設定上の3分を守っているなww」


勇者「だからそれはカップラーメンじゃなくて赤いきつねだろうがああああ!」

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3分勇者の願い事 凛陰 @ecoosme829

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