第2話 初恋
私は、田辺真理。
母は専業主婦で、父はと言うと、とある私立高校の校長をしていた。もちろん、私が通っている高校ではない。
私の兄は(3人いるが)みんな父の高校に(いやいや)入学したが、私は絶対に嫌だと言って公立の高校に入学した。
父のことは好きだったが、全校朝礼で話の長い校長だなとか、校長ってカツラらしいぜとか、そんなことを噂されるのを耳にするのが嫌だった。
両親は意外とすんなり、公立の高校入学を許可してくれた。まあおそらく、母が父をうまく説得してくれたんだろう。母はそういう人だ。
私には、小学1年生から中学2年生まで、好きな人がいた。初恋の人である。
ひとつ上の学年で、クラスにひとりはいるお調子者。今思うと、なぜあんな人が好きだったのかと思うが、田舎の小学校といったらまあクラスはひとつしかないし、全校生徒が100人もいないという有り様で。
それでもその時は、本気で恋をしていたつもりだ。
小学生や中学生の恋なんか、いじめられて怒るけどなんか嬉しかったり、帰り道におしゃべりするくらいで舞い上がったり、そんな程度のものなんだけど、
嫉妬や哀しみもちゃんとあって、それなりに涙も流した。叶わぬ恋だった。
未来の自分に手紙を書いて、いつか忘れられるかな、なんて思ってた。これ以上ない恋愛をしたつもりだった。
(HYのNAOを聴きながら泣いたものだ。自分に酔っていた所は否めない。)
中学2年生の春、初恋の人の中学卒業とともに、8年間の片思いは終わった。
そして、もう二度とこんな好きになれる人はいないだろうと、哀しみを胸に秘め、高校に入学した。
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