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直後、再びやつの魔弓から矢が飛んできた。次々と。
俺はやはりそれをよけたりゴミ魔剣で叩き落すはめになったが、矢の威力はともかく、回避しやすさはボウガンの時とそう変わらないように思えた。このぶんなら、やつの貴重な魔弓用の矢が尽きるまで防御に徹してよさそうだ。
と、内心ほくそ笑んでいたわけだったが、
『で、魔弓の矢が尽きたあと、あの鳥頭はどうするんですかネー?』
ゴミ魔剣の声が響いた。まーたさらっと俺の心を読みながら話しかけてきやがって。久しぶりだな、オイ。
「どうって、魔弓の矢がなくなったら、ボウガン使うしかないだろ」
『アッハ? そうとは限らないんじゃないですかネ? なんせあの鳥頭は、マスター相手にボウガンじゃパワー不足と判断して、魔弓を出してきたんですぜ? つまり、その魔弓の矢がなくなったら、あの鳥頭はもうマスターに勝てる方法がないと考えて、トンズラしちまうんじゃないですかネー?』
「え、逃げるの、あいつ?」
ちょっと待て。今の状況であいつに逃げられると……。
『今のマスターに追いかける方法はないですネー?』
「う!」
それもそうだ。ただでさえこっちは移動に難のある状況だ。飛行タイプのあいつが全力で空を飛んで逃げたら、追い付くことは絶対に不可能だろう。
そして、逃げられれば当然、あいつにかけられた懸賞金は手に入らない!
「じゃあ……ここは逆に考えるしかないのか」
『デスネー。あの鳥頭の魔弓用の矢がなくなる前に、やつの懐に潜り込んで倒すしかないですネー』
「簡単に言いやがって」
だが考えるほどに、それしか方法はなさそうだった。今、ヒューヴが俺に対して攻撃を続けているということは、あいつなりに俺に勝てると考えているからだろう。つまり、今あいつの頭の中には「逃げる」という選択肢はない。だから俺はそのスキにあいつを倒さなくちゃいけないんだ。
それに、考えてみれば「相手の矢が尽きるまで待つ」という方法はあくまで「負けない」ためのやり方で、「勝つ」ためのものじゃない。何より脳筋の俺らしいやり方じゃない! 俺は勝つためには手段を択ばない男。現にこうして今フルチンで戦っている。「負けない」ために安牌なやり方を選ぶのは性分じゃないんだ!(※彼は過去のことはいろいろ忘れてます)
「よーし、やるぜ!」
フルチンであることを改めて実感した俺は、再び風と一体になった気がした。そう、俺の股間をやさしくくすぐる風たちが俺に力をくれる!
「ヒューヴ! 飛び道具を使うのはお前だけじゃねえぜ!」
直後、俺めがけて飛んでくる矢に向かって、俺は力いっぱい魔剣を振った。俺の身に宿した風の精霊たち、今こそあの矢を撃ち砕け! ザシュッ! 例の真空の刃が俺の魔剣から放たれたっ!
……が、それはヒューヴの矢にぶつかったとたん、あっけなく雲散霧消してしまった。
当然、ミサイル並みの破壊力を持つ矢はまっすぐこっちに飛んでくる――。
「うわっ!」
何が風の精霊だよ! やっぱこの技、威力低すぎぃ! すぐに身をくねらせ、ギリギリのところで矢をかわした。
だが、それでやつの攻撃が終わったわけではなかった。直後、やつは俺の「目の前」から消えていた。
「え――」
あわてて首を動かし周りを見るが、やはりやつの姿はどこにもない。
それもそのはず――やつはいつのまにか俺の真下に回り込んでいたのだから!
「ぬおっ!」
ちんこ越しにその姿を確認したときには、すでにやつは俺に矢を放っていた! 真下からの、まさかの俺の会陰狙いの射撃!
「させるかあっ!」
瞬間、俺は魔剣を両手で握りしめ、羽子板のように振ってその矢を下に撃ち返した!
ドォーン!
その矢はやつの肩すれすれに落ちていき、また落下地点の地面をえぐったようだった。
「クソッ、アホ威力の矢を神エイムで当てに来る上に、3Dで超高速移動までするのかよ」
めんどくせえ敵だなオイ! 防御だけなら簡単だが……俺、魔弓用の矢が尽きる前に、こいつの懐に潜り込めるのか?
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