雨を数える人


雨を数える人がいる


優しい指の動きで


ひとつひとつ追っている


それでは間に合わないのではと思うが


この場所を通過する雨を数えているだけのようだった


そっと指先は


雨粒と付き添って


優しく天地を結ぶライン上を動く


細く狭い一粒分のライン


それは数えている人の占有物であるように見えたが


しかし彼はそこに住まうことはできず


なぞって観測する以上のことはなかったのだと思う


翌日


というものが全く欠けており


したがって

私はそのまま

夕食のコロッケを買いに行くことにして

   

戻ったときに雨が上がっていれば

そこにいた人の顔のおうとつを思い出せないで

平気なままの不純な人間であることを少し恥じた



雨音はいつまでも優しく私の輪郭を撫でている

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