雨を数える人
雨を数える人がいる
優しい指の動きで
ひとつひとつ追っている
それでは間に合わないのではと思うが
この場所を通過する雨を数えているだけのようだった
そっと指先は
雨粒と付き添って
優しく天地を結ぶライン上を動く
細く狭い一粒分のライン
それは数えている人の占有物であるように見えたが
しかし彼はそこに住まうことはできず
なぞって観測する以上のことはなかったのだと思う
翌日
というものが全く欠けており
したがって
私はそのまま
夕食のコロッケを買いに行くことにして
戻ったときに雨が上がっていれば
そこにいた人の顔のおうとつを思い出せないで
平気なままの不純な人間であることを少し恥じた
雨音はいつまでも優しく私の輪郭を撫でている
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます