そこらじゅうに咲いている花は誰が手入れしているのか知らないまま咲いている
そこは公園になる
緩んだ光の差し込む公園になる
隠すもののないひらけた公園に
やがて夕暮れになる
針の動きを監視する必要なんてないから
ボール遊びでもしてたらいい
でも草むらには近づかないで
蛇がいるかもしれないから
一面を焼いたわけじゃないんだ
銅像をひとつ引き摺り落として壊しただけだから
銅像の足元にはプレートがあって
この人の偉業を称えている / 金属は冷たい
二本の足で立ち上がる / 歴史を踏みつけて
この人の目線はここにいる誰ともあわない / 死者は見ることをやめる
マイクには歓声が聞こえただろう
群衆と銅像との紐のテンションが緩んだ時に縒り合わされた大勢の歓声が
500kgの金属と地球が衝突する瞬間
誰もが両手を突き上げていた
地球は苦もなく金属を砕く
少しだけ足元が震えて目を瞑る
子どもが驚いてこっちを見てた
アイスクリームが溶けるのも気づかずに
さぁっと蛇が草むらへと滑り込む
無数の紐が千切れただけなのかもしれない
驚かされるのは無関係だからだ
そうだろう
銅像は顔色ひとつ変えない
蛇たちにはかわいそうなことをした
そこは公園になる
日の当たる広い公園になる
木陰もベンチもある
でも草むらには入らないで
何も一面をまっさらにしたわけじゃない
ブロンズの爪先は埋まったままだろうし
目は明後日の方を見続けている
顔色ひとつ変えることなく明後日の方を
帰る家のある人々は明日のために帰る
帰る家のある人々は
そこらじゅうに咲いている花は誰が手入れしているのか知らないまま
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