朝にきらめき、夕に茜空

風子

第1話 本屋大賞だってよ

「流浪の月」は本屋大賞で周知の作品であろうから、あえて語る必要はないのかもしれない。それでも語りたくなるというのは、名作ゆえなのかもしれない。

私たちは常々、常識の範囲内で物事を考えて、胸の内におさめることが至極当然となっている。

日頃において、世間を賑わせる凶悪事件が起きた場合などには、大衆の物差しで、さも、それが1番に正しい答えであるかのように、SNSやメディアなどでは特定の考えのみが連なる。そのためか、昨今、多様性などと、声を大に叫んでみたとこでどこか虚しくしか響かない。

主人公はもちろん、想い人、恋人、バイト仲間などは、それぞれに幸せを希求するのだが、ことは上手く運ばない。

予定調和というわけでもなく、そこまで現実からかけ離れているわけでもない。

無数の正解が散りばめられたような世界になってほしいと読後、確かに思わせてくれるような小説だった。確かに私にはそんな風に感じた。

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