第2話 俺に休まる時間はない!?
「どーして髪切ったんだよ? 彼氏にでも振られたか?」
「な訳ないじゃん! 絶賛ラブラブ期よ」
何だよラブラブ期って。成長期的な? 行くところまでイきますよ的なやつか?
「へぇー、よかったな」
「まさか私が彼氏に振られて傷心の所につけこんでワンチャン狙ってる? くぷぷ」
「な、訳ねぇーだろ。俺は高校じゃ彼女作らない、って決めてんだよ」
「ほぉー? さも高校卒業したらすぐ出来ますみたいな言い方ですな。そう言う気持ちでいる人は大抵、高校卒業しても恋人出来ないですぞっ」
余計な御世話だよ。
俺達は家から徒歩20分程度の場所にある県立桜ヶ丘高校に通っている。何かの縁なのか、はたまた神様のいたずらか、俺と光子はかれこれ6年間同じクラスになっている。
「おっはよーう!!」
「今日も相変わらず元気だねぇ光子は」
席替えで光子と席離れてよかったー。隣だった時なんて四六時中恋の話聞かされてたからな。ありがとう神様! ただ、もし神様が僕の事を少しでも思ってくれるのであれば来年こそはあの恋愛厨と別々のクラスに。
光子には内緒だが、俺は毎日こうやって神に来年こそは、と祈りを捧げている。毎年叶ってないけどな。
「今日もお熱く2人で登校ですな恋次さん」
「そんなんじゃねぇよ」
彼は
桜ヶ丘高校2年3組。このクラスは他クラスと比べて全員の仲が良い。イジメも無いし、ハブかれてる奴もいない。まぁ、やっぱり仲良しグループは存在するわけで。俺は大体、学と一緒にいる。
「そう言えば学、昨日の記事見た? ジョージクルーシア監督が7月に新作を発表するらしいぞ」
「まじ!? 絶対初日に観に行こう!」
「まだ映画の内容すら発表されて無いのに行く気満々だな」
「当たり前だよ! ジョージクルーシア監督って言えば処女作の『クイーンエリザベスの瞳』からあらゆる映画大賞を総ナメに……」
また始まった。学は映画のこと語り出すと1時間は話し続けるからな。こいつもこの性格がなけりゃあモテるだろうに……。
「ジョージワシトン?」
「ジョージクルーシアだ。前にも説明したろ。てか自分の席戻れよ光子」
「あー、恋ちゃんの意地悪! 好きな女の子にいたずらして良いのは中学生までだぞっ。それといたずらの限度も……」
こいつもだった……。なんで俺の周りには話し出したら止まらない奴しかいないんだ。俺は聞き上手になる為に高校に来てる訳じゃ無いぞ。
俺は額に手を当て首をかしげた。
授業開始のチャイムが鳴る。これから授業終了までの50分間が、俺の高校生活で1番落ち着く時間だ。
一番後ろの窓際の席だから風通しが気持ちいい。窓から校庭を眺めると他のクラスが体育をしている。なんてのどかなんだ。こんな平穏な時間が一生続けば良いのに。
前の席に座る学に肩を叩かれる。
「どうした?」
「これ! みっちゃんから!」
光子から?
学ぶの手には小さなノートの切れ端が握られている。
んーと、何々。(いつも校舎から体育の時間見てました。ってなんか恋愛に発展しそうじゃない?)
俺は常に恋愛思考に陥ってるオタク男子じゃねぇーーー!!
か、神様どうかお願いです、あの恋愛バカと違うクラスに……。
俺は光子から回ってきた紙切れをぐしゃぐしゃに丸めて3階の窓から放り投げた。(絶対にやってはいけません)
授業終了のチャイムが鳴る。
「はぁ」
「どうしたんだよ恋次。ため息なんかついて」
「普通、息吸ったらため息するだろ」
「いや、普通は息を吐くんだけどね……」
「だってよぉー、家出てからずっと光子の恋愛脳に支配される日々だぞ? 俺はうつ病になるかもしれない」
「楽しそうで良いじゃない。みっちゃんも恋次に恋愛を知ってもらいたいんだよきっと」
あいつが原因で恋愛から離れて行ったんだけどな。
学はいい奴だ。話し出すと止まらないけど、俺の話もしっかり聞いてくれる。よく光子の愚痴を聞いてもらってる。
「でもみっちゃん学校で人気あるし、恋次を羨ましがる人結構いるんじゃないかな?」
「はっ! 俺から言わせればあんな恋愛しか脳に無いような奴のどこがいいんだか。むしろ聞いて回りたいね」
「ははは、本当に仲が良いね2人は」
「幼馴染としては、な。周りが思ってる様な『恋愛関係』では一切ないぞ。そもそもあいつ……、彼氏いるし……」
「別に恋愛的に仲が良いとは一言も言ってないけど?」
ニヤニヤしながら学は俺を見てくる。はめられた!
「う、うるせぇ!」
席が近いって事もあって俺と学はよく話す。光子を加えた3人で話す事も少なくは無い。学と光子も仲が良いし、友達としては楽しいんだよなぁー。
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