第42話 異世界にて

ー私の話ー

 私がこの世界に来てから既に数年経つ、始めは戸惑いしかなかった。だけど運良く先輩(この世界の先輩なので勝手にそう呼んでいる)に保護され、今はこの世界の言葉も話せるようになった。薄々自覚してるけど、私は先輩が好きなようだ。


 ここは食事処か喫茶店かという曖昧なお店、そこでコーヒーを飲みたかったのだが勝手に紅茶を注文されてしまった。仕方なく紅茶に口を付けると、青い髪の少年が話しかけてくる。流石に私でも好意を持たれていることには気付く、けど私は君に好意は無いんだ。都合良く先輩が店に入ってきて、私に元の世界の言葉で話しかけてくる。そう、先輩は同じ言語圏の人である。先輩は見た目がチャラい感じであり、私たちが楽しそうに知らない言葉で話しているので、少年は気が気でない様子だが知ったこっちゃない。先輩はその少年をからかって楽しんでるようだった。





ーとある少女の話ー

 この世界に来ていろいろ説明を受けました、でも私は言葉を知りません。でも彼らの言いたいことは伝わりました、それで気づいたのですがどうやら私は相手の心を読めるらしいです。この世界には転生者や転移者が現れるのは、日常茶飯事なのだそうです。色々な世界から色々な種族が転移してくるということでした。そしていろいろと制限事項があり、それを破ると神? からの制裁があるのだそうです。そして自分の能力については話してはいけないとのことでした。私はとある集団の元に連れられて、そこで私のような子供は鉱山でお手伝いをして生活していくことになると聞きました。


 そして数年後、私は片言ながらもなんとか意志疎通ができるようになっていました。そんな中、私は同い年くらいの男子達から休憩所のような所に呼び出されました。嫌な予感しかしません。奥に居るリーダー各と思われる少年から


「おまえ、転移者なんだってな」


と言われ、首を降って肯定しました。


「本当は嘘なんだろう?」


私は首を降り否定します。


「わたし、てんいした。はなす、いけないこと、ある」


するとすぐ近くに居た少年が


「嘘つきにはお仕置きが必要だよね」


そう言っていやらしい顔で私を見ました、そのときに声が聞こえました。


「おい、おまえ達何をしているんだ?」





ー再び私の話ー

 私はここに用事があって来たが、何かまずいことになりそうな会話が聞こえてきた。声の方に近寄っていくと、一人の少女を前にした複数人の少年達が目に入った。


「おい、おまえ達何をしているんだ?」


思わず声に出してしまった。私は急いで少女に近づき、庇うように少年の前に出た。こいつ……ナイフを隠してるのか。少年は私を挑発するような態度だったため、私はニヤリと笑い、ナイフを隠し持っていた少年の手を掴んだ。少年は思い通りにいったと思ったのであろうが、残念ながら私はその程度のナイフではかすり傷にしかならない。まぁ、手に突き立てられて小さい傷にはなったけどね。


 その後私はその少女を保護することにした、先輩とも一緒に暮らす話が進んでいる。元の世界では叶いようがない夢が、この世界では叶えられそうだ。私は元の世界ではMtFであったが、この世界に転移した時に肉体は女性となったから。


ー了ー

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