第38話 月の光

 今夜は月が妙に明るい、妙に大きいのも怪しい。考えても意味無いと思い、それを思考から追い出した。いま私は会社の寮の、恐らく5階くらいに住んでいる。気付いたときにはこの部屋に居たのだ。ただ休職中で、ずっと休んでいた。窓から外を見ると、すぐ下に会社の通用門が見えて、数人の社員が出てくるところだった。上着は制服、下はスラックス。おじさんと言われる年代だった。制服のままという事は、車で帰宅か寮に住んでいるかだろう。


 私はその集団から目を反らしつつ、周りを眺めた。まるで壁のようにビルやマンションが建っている。こちらから見えるということは、あちらからも見えるんだろうなと、そして月が明るいから尚更だろうと思った。


 寒さを感じ、窓が開いていたことに気付き窓を閉める。それからカーテンも閉めて横になる。いつから仕事再開できるのかな、女子社員として……。



ーーおわりーー

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