第2話 お店はどこ?

夢で誰かと行ったあの店、一人でいけるかな。

行きたいけど、歩き回っても思い出せない。

場所がわからないよ。


駅近くの階段を上がった所の広場に戻ってふと目の前に自動販売機があることに気づいた。

変なデザインの、煙草の自動販売機だった。

何を思ったかお金を入れて、兄がこの煙草を吸ってたなと思いながらボタンを押した。

出てきたのは、違う煙草だった。


まぁ、いいや。

兄には渡せないけど、吸ってみようかな。

煙草なんていつもは吸わないけど、今の心境には丁度良いのかもしれない。 


喫煙所を探し、箱の封を切って一本取り出して、試しに火を着けてみる。

口に含んだ時点でもう駄目、すぐに火を消して灰皿に煙草を突っ込む。

吸えないよ、やっぱり無理。

煙だけでも嫌い。

はぁ、莫迦みたい。

口の中が気持ち悪い、煙の味がする…どこかでうがいしなくちゃ。


結局自動販売機でお水を買って、トイレでうがいしたけど余り効果がなかった。

まだ口の中が変な感じ。

何してるんだろう、私。


夢で見たあの場所、記憶にある場所なんだけどなぜか辿り着けない。

それより夢の中とは言え、相手は誰だったんだろう?

顔すら思い出せないし、気になって仕方がない。

夢なのに気にしすぎだって?

だってお店に辿り着けたら、相手が分かるかもしれないんだよ?

気になって当然だと思うけど、気にならないものなの?

自問自答を終わらせ、もう一度駅から回りを確認する。


あれ?


さっきは見つからなかったのに、あの建物が見えていた。



ーーおしまいーー

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