テーマ系自主企画(読み切り)
カップ麺 「【カクヨム作家にカップラーメンを作らせたらどうなるか?】コンテスト」参加作品
カップ麺と一口に言っても色々とある。
うどん、そば、ラーメン、焼きそば。時には麺がないという常軌を逸したものまで。
容器だってそうだ、ゴルフカップのようなおなじみのものもあれば四角の箱型、どんぶり型なんかもある。
ピュオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
湯の沸く音がする。
トクトクトクトク…。
予め蓋を開いておいたカップに熱々の湯を刻み込まれた線ギリギリまで注ぐ。
立ち上る湯気が熱い、今しばらくの辛抱だ。
まだ熱いやかんの底をアイロンのようにして蓋を再度閉じる。
…うまくいった。
いつも大体糊が足りないのか少しばかり浮く。
タイマーのボタンを押す。
3分、3分だ。
180秒。
長いようで短い。
いや、長い。
この時間は湯船につかっている感覚と似ている。
煮詰まった仕事、昨日あった嫌なこと、明日気になるあの子に何を話そうか。
いろんなことを考える。
そして消えていく記憶。
そこの空間、時間だけの出来事、記憶だ。
そんな感覚。
でも時には裏面の原材料表記を見る。
一目で不健康な食べ物だとわかる原材料だ。
なかなかのカロリー。
これだけのカロリーを1度で減らすのにどれだけの運動が必要なんだろう。
でもそんなことは知らない、興味がない。
だって
ピピピピッ!ピピピピッ!ピピピピッ!
タイマーが鳴る。
うるさい、すかさず止める。
ベリベリベリ…。
再び剥がされる蓋。
今度は最後まで剥がす。
1度剥がされたのにまた付けられ、さらにまた剥がされる蓋の気持ちはどうなんだろう。
さぞかし困惑しているだろう。
箸を割り、混ぜる。
下から上へ、上から下へ。
回転は禁物だ。
ここで言う魔法の呪文。
いただきます。
これを言うだけでおいしくなる、気がする。
ズルズルズルズルッ…。
うまい、うますぎる。
初めてこれを考案した人間は天才なんじゃないかと思う。
さらに改良を加えた人まで。
なんだろう…この…麺の食感もそうなんだがスープの味。
仲良ししている。
互いが互いに必要不可欠。
ガスパールにおけるリサ、クリストファーロビンにおけるプー、サトシにおけるピカチュウ。
これは…すごい、さらに空腹状態が後押ししてうまいの中のうまい。
言うなればナルトとサスケにおけるサクラである。
もはやずるい。
…食べきってしまった。
この残ったスープはこのまま飲むのもいい、健康を考えて捨ててもいい。
が、ここにはこれだ。
ジャン!米!
シンプルだ。だがうまい。
これはあえて例えるなら石仮面を得たディオだ。
もう勝てない、ああ、うまい。
ごちそうさまでした。
Special Thanks
一矢射的様
素敵な企画ありがとうございました。
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