第一章
『その学生、意外に中性的であり。』①
「奈緒、飯食い行くぞ。」
机の中に教科書を仕舞っていると、ポケットに手を突っ込みながら1人の学生が僕に話しかけてきた。
名前は
入学式の時に初めて出来た僕の友人である。
「飯食いに行くって…街?」
「当たり前だろ。」
「えぇ…外出許可の申請しに行くの嫌なんだけど…。」
僕は翠が言った言葉にそう答える。
そう、この学校はお昼を食べに外で出かけることは出来るのだが、その際には『外出許可』と言うものを貰わなければ出れないと言う決まりになっている。
…んで、その申請が凄く面倒臭いわけで、家から弁当を持ってくる学生が割と多いのだ。
「そんなこと言うと思って、朝にお前の分まで申請してきた。」
翠はそう言いながら僕に申請した証拠を見せてきた。
それに対して僕は、
「え、やば。僕に選ぶ権利とかないの。」
と言う。
その言葉に翠は「当たり前だろ。」と言い、手に持っていた学生帽を被り、
「先に外行ってるから。早く来いよ。」
とそう言い残し、教室を出た。
僕は翠が教室を出た瞬間に「はぁ・・・。」と溜め息を吐いた。
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