「ねぇねぇなんで?」

ネコイル (猫頭鷹と海豚🦉&🐬)

コーラのなんで?

 グイグイとわたしの服を引っ張って君が聞いてきた。


 「ねぇねぇなんで?」


 わたしは手の動きを止めて君に聞き返す。

 

 「今日はなにが聞きたいの?」


 君は一杯のコップを目の前に突き出す。中にはシュワシュワと弾ける炭酸水が入っていた。そうして君はこう言った。


 「どうしてコーラはシュワシュワしてるの?」


 わたしは少し考えてこう言った。


 「コーラのシュワシュワはね、目に見えないおさかなさんが跳ねてるんだよ」

 

 君は首をかしげるてまた尋ねる。


 「おさかなさん?おさかなさんはいないよ?」


 それにわたしがこたえる。いつものことだ。


 「おさかなさんはいるよ。でも小さすぎてぼくたちには見えないだけだよ」


 「おさかなさんはどこから来たの?」


 「コーラをコップに入れるとたくさん泡が出るでしょ?あれの中からおさかなさんたちは生まれるんだ。そうして生まれた喜びを跳ねて表現するんだよ」


 それを聞くと君はコーラを見つめて不思議そうな顔をする。


 「どう?おさかなさんは見つかった?」

 

 君はぶんぶんと顔を振ったがその目はキラキラと輝いていた。

 すると、君は次々と疑問を投げかける。


 「じゃあ、じゃあ、コーラを飲むと口の中がシュワシュワするのはなんで?」


 「それはね、口の中に入ったおさかなさんたちが口の中をつついてるんだ。これなんだ?食べてみようって言ってね」

 

 「じゃあ、コーラを飲むとげっぷが出るのは?」


 「おさかなさんたちが『ここから出せ~!!』って言ってすごい速さで飛び出していくから、それでだよ」

 

 わたしがそう言うと、君はなにかを探すみたいにキョロキョロと目を泳がせる。わたしが何を探しているの、と聞くと。

 

 「おさかなさん。さっきげっぷしたからまだどっかにいると思って」


 「そっか。おさかなさん、見つかるかな?」


 「うん、見つける」


 そう言って君はおさかなさんを追ってどこかへ行ってしまった。


 わたしは手元のコップからコーラを一口飲んだが、おさかなさんはもうどこかへ行ってしまったようだった。

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