ただのお荷物でしかない能無しの俺は最強パーティーを追放され殺害された。しかし気が付くと猫になっていて、『モンスターの力を吸収する能力』と『万物を強化する能力』に目覚めたら元仲間たちも引くぐらい最強に!
第107話 アレン軍VSレステア軍・魔王軍幹部②
第107話 アレン軍VSレステア軍・魔王軍幹部②
「あれは……」
「多分ステイが言ってた、召喚された人じゃない?」
「セシル、ヘレン、油断するな……あいつからは凄まじい力を感じる」
セシルたちはツクモが歩いてくる様子を、静かに見据えていた。
あまりの平然さ、余裕な振舞いにほんの少しばかり苛立ちを覚えるセシル。
周囲の敵は退き、相手は一人のみ。
剣を構え、ツクモに突撃を仕掛けるセシル。
「ヘレン! 左右から挟むぞ!」
「オッケー!」
真っ直ぐ突き進むセシルを見て、ヘレンとホルトは左右からツクモを狙うために散開する。
「おいおいぃ。そんなに急ぐなぁ」
後ろからオージが三人を追いかける形で駆け出す。
「はぁああああ!!」
セシルは飛び上がり、力の限り剣を振り下ろす。
ツクモはそれをギロリと睨み付けると、片手で受け止めてしまう。
「なっ!?」
「こんなオモチャみたいな剣で、俺をやれるとでも思ってんのかよ?」
「オモチャが三つならどう?」
左右から飛び掛かるヘレンとホルト。
しかしツクモは嘆息し、手に掴んだ剣ごとセシルを振り回す。
「ど、どんな力してるんだ、こいつ!」
「きゃっ!」
セシルを鈍器のように扱い、ヘレンとホルトを殴りつけるセシル。
さらに駆けつけきたオージにセシルを投げつける。
「うおぉ!」
四人は起き上がり、ツクモを鋭い目つきで見据える。
セシルは手に持つ剣を放り投げ、腰にある真剣を抜き取った。
「悔しいが……手加減して勝てるような相手じゃないようだな」
「みたいね……じゃあこっちも本気で行こっか!」
ヘレンもホルトもオージも、殺傷能力の無い武器を手放し、本来の武器を手に取る。
「〈
「…………」
セシルたちよりやや後方にまで前進していたキリン。
能力でツクモを拘束する。
「悪いけれど、一方的な戦いを展開させてもらうわ」
「そうみたいだな……ただ、一方的なのはこっちだがな」
「え?」
ツクモはそう言って、両腕に力を込め、キリンの能力から逃れてしまう。
「う、嘘!? これを解ける人なんて……」
「行くぞ」
エドガーとカシスは正面から激突していた。
力と力のぶつかり合い。
その実力は――全くの互角。
テレサの持つ能力、〈
それは、アレンのドリンク以上に自身と味方の戦闘力を向上させるというものである。
しかしウェンディの〈
「まさか、ここまで力を持つ人間がいるとは……」
「魔族にもこれほどの実力者がまだいたとはな」
エドガーの大剣を硬化させた右腕で受け止めていたカシスは突然ニヤリと笑う。
その笑みを見て背筋を冷やすエドガー。
「でも……俺には敵わねえんだよ、このゴミクズがぁ!」
突如、口調が乱暴なものになり、エドガーの腹に蹴りを放つカシス。
「ゴミはゴミらしく……そこら辺に転がってろ! 〈
「!?」
エドガーの足元がカッと光ると共に――大地から土の塔が出現する。
半径は五メートルほど。高さは十メートルまで伸びていた。
それは魔王級の破壊力を有する、カシスの必殺の一撃。
これを喰らえば、無事で済む者などいないと言っても過言ではない。
エドガーは瞬時に危険を察知し、〈
短剣を抜き取り、カシスの首を狙う。
勝った。
そう考えるエドガーであったが、カシスは見えないはずのエドガーに向かって腕を振るう。
「なっ!?」
「残念ですが、勘はいい方なんですよ」
塔はサラサラと細かい粒子となって消えてゆき、姿を現すエドガーはニコリと笑うカシスを睨み付ける。
「……想像以上の実力者のようだ」
「それは同意見ですね……できたら、さっさと死んでほしいものですが」
「それも同意見だ」
また激しいぶつかり合いを見せる二人。
その横ではケイトとソルトが対峙していた。
力を解放するソルトと、首を鳴らして余裕の態度を取るケイト。
以前はテレサの能力があったためソルトには敵わなかったが……今回の条件は同じ。
こちらも力が拮抗していた。
「この間みたいな怖さは感じないな、犬」
「イライラさせんじゃねえ、女! とっとと――死ねや!」
爆発的な速度で突進をするソルト。
ケイトはその動きに反応し、大鎌を振るう。
やはりこの間ほどの実力差は感じられない。
理由なんて分からないが、これならやれる。
ケイトの鎌をするりと避けて、背後まで移動するソルト。
ケイトは舌打ちしながら回転し、鎌を振った。
以前ほどじゃないにしても、厄介なのは変わらないな。
鎌を蹴り上空へ飛んだソルトは、ケイトを睨んで、宙を蹴る。
「抵抗してんじゃねえ! 死ね!」
「宙を蹴るなんて……メチャクチャな奴だな」
勢いよく飛んで来るソルト。
だがケイトはその動きに合わせて、回し蹴りを顔面にお見舞いする。
「ガッ――」
ズサーと地面を滑るソルト。
ケイトは走りながらニヤリと口角を上げる。
「だけどな、身近にはもっとメチャクチャな奴がいるんだ。お前程度に驚いてはいられないよ」
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