世界で一番僕のことが好きな君
茶野 夕子
初めまして始めました
彼からゲームに誘われることはあったがゲーム実況に誘われるのは久しぶりだった。
普段と変わらずにゲームしてくれるだけでええんやでと言うからFPSのゲームで動画を撮ることにした。
「はいどーも、レミタスです!」
「初めまして、えいあうるです。」
僕の名前はえいあうるだ。もちろん本名ではないし、彼のレミタスという名前もゲーム用の名前だ。
緊張したが何事もなく一回目の撮影は終わった。レミさんはこれから編集作業だ。かっこよく編集したるからな!と言って通信を切っていった。
動画はなかなか好評だったらしい。
僕はほっとしたがそれもつかの間、レミさんは配信にも誘ってきた。
流石に配信は、と断ろうと思ったが彼の誕生日だったのでしぶしぶ出てみることにした。
初めての配信は意外にも楽しかった。リアルタイムで視聴者のコメントが届く。レミさんもリスナーさんも楽しそうだ。僕がその輪に入れるか心配だったがそんなのは杞憂でしかなく、喜んでくれる人もいた。照れるが嬉しい。
僕はその後もレミさんと共に実況をした。
おもにFPSの実況をする。だんだん慣れてきていつも二人でゲームしてる時と変わらないようになってきた。
そろそろえいあうるとしてTwitterアカウントを作らないかとレミさんは言う。待ち望んでくれる声があるようだ。しかし僕は断った。不安だった。
僕にそのような魅力はあるのだろうか。
リスナーさんは僕が邪魔だと思ってないだろうか。
レミさんが言ってるだけで僕なんかを望んでくれている人なんてきっといない。
そう思った僕はエゴサーチをした。
えいあうると打ち込んで検索ボタンを押す。
不思議な投稿と出会った。
《えいあうるさんレポート》
頭の中にはてなマークが飛び交う。
それは動画の見どころとそのシーンの時間、僕のことについて紹介された手書きのレポートだった。投稿されたのは僕が配信に初めて出た次の日。きちんとその配信アーカイブのURLもついていた。いわゆる布教というやつなのかもしれない。
それ以外にもそのリスナーさんは僕が配信に出るたびに宣伝をし、僕に関しての質問があるとわかる範囲で答え、どの動画から見ればいいか困っている人を見つけたらおすすめの動画のURLを送っている。まるで僕の広報担当みたいな活動だ。
本当にファンがいた。信じられない。
僕はこのリスナーさん、詩遊さんと話してみたい、そしてお礼が言いたいと思った。
僕はTwitterアカウントをつくり、レミさんに伝えた。
つくりたくないって言ったよねとからかわれながらも配信内で発表させてくれた。
「僕、えいあうる、Twitter始めさせていただきます。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます