〔創作雑記〕あずまの頭んなか

あずま八重

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◆ 創作備忘録:講座っぽい何か

改行と空行の話~読みやすい書き方を考えてみる~

※同タイトルのpixiv公開作を自己転載。

※2017.09.11最終更新版。そのうちリライトする。

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講座といえば大抵「文章作法」の話から始まるんですが、詳しいそれはひとまず置いといて……。


 まずは読みやすさを意識してみませんか?


文章スタイル(書式)の例を次に3つあげますので、サラッと読んでみてください。


大事な部分は【】でくくってますから、「私には読みづらい!」という人でも安心して読めるようにしてあります。

( ´ ▽ ` )ノ



 * * *


◆ 書式1:紙面スタイル


 【段落の頭を1字下げ】し、【改行は段落を変えたい時だけ】します。論文や書籍、新聞といった〝紙〟を媒体にしている書き物の九割は、こんな感じですね。

 あ、『媒体ばいたい』って分かりますか? 小学4年~中学くらいの、たぶん理科の時間に習う言葉です。説明が苦手なので具体例を挙げると――

「お味噌汁の媒体は水(お湯)、新聞の媒体は紙、pixivの媒体はスマホかPC!」

 伝わったかしら? まぁ伝わらなかったとしても、【セリフの「」等の頭にはスペースを開けない】ことが伝わっていればいいんです。


 ところで、段落の書き出しにスペースを置くこと自体は〈字下げ〉と言います。日本語文での字下げは、1文字分だけするのが一般的なので「字下げ=1字下げ」として言われることが多いんですが、ここではあえて「1字下げ」としています。

 あくまで〝一般的〟。そこから外れたものは気安く叩かれがちですけれど、【表現意図によっては数文字分下げてもいい】ですし、いっそtabキーで下げたってテキストファイル上はあまり問題ありません。〝一般的〟を踏まえた上で、崩す等するのは自由でございます。――さぁッ、自分の道をロックにお行きなさい!


 ……言っておいてなんですが。tab入力での字下げは、webだと無効になりますし、開くアプリケーションや設定によって大きさ(長さ?)が変わってしまうので、小説等での使用は非推奨しておきますね。



 * * *


◆ 書式2:一文改行スタイル


【段落の頭は1字下げせず】、基本的に【一文ごとに改行】します。


〈一文〉とは、「。句点」までの文章のつらなりを言います。

「?疑問符」や「!感嘆符」、使い方によっては各種カッコや「―ダッシュ」「…三点リーダ」までを一文として扱いますが、これは〝省略された句点〟が直後にあるからなのです。


さて、ここで問題です。

この書式で〈空行くうぎょう:行と行の間の空白行〉を入れるのはどんな時でしょーか?


さっきから「段落、段落」とよく言ってますが、正確には〈小段落:形式段落〉のことです。

その小段落が変わる時、この書式では、段落頭の1字下げをしない代わりに【空行を入れて小段落の区切りに】しています。

早い話が〝目印〟ですね。


 


ところで、小段落と聞いて連想するものはありませんか?


「いんにゃ。小段落すら知らんかってん」


――ま、まぁそんな方も、これを機に〈大段落:意味段落〉という言葉も覚えていってくださいな。




【大段落では、小段落よりも多く空行を】入れます。

そのほうが読み手にも書き手にも合図として分かりやすいですし、緩急が付いて読みやすくもなりますから。


このスタイル実例の大段落は、3行空けをルール付けてます。

小1・大2行空けでも分かりますけど、小1・大3行空けなら、差がハッキリしつつ4行空けほどのクドさは出ずに済むかなと思いまして。


ちなみに、本当なら『~ここで問題です。』の前にも大空行を入れるんですが、話の流れを考えて1空行にしておきました。モヤっとした方がいましたらすみません。


 


さて、【〈紙面スタイル〉での大段落は1行空け】だったことには、もうお気付きですか?


ペロッと戻れば一目瞭然。

ほら! 1行空いてるだけでも分かりやすいでしょ?



 * * *


◆ 書式3:一文空行スタイル


簡単に言えば【〈一文改行スタイル〉を更に改行した書式】で、ケータイ小説やブログでよく使われる書き方です。


余白部分の多さから【文字が追いやすい】半面、〝書籍小説好き〟からは嫌われやすいのが難点です。




これが一番読みやすいというアナタは、きっと詩がお好きですね?


小説では無駄に思える改行も、詩だと輝きを見せますものね。




せると言っても過言じゃないのさっ!」




たぶんですけどね。


たぶん。







この書き方の問題点は2つ。


『縦に長くなる』ことと、『文字バランスが悪くなりやすい』こと。




前者は結構イヤがられます。


長い小説を読んでいる時はスクロールすら面倒くさくなることってありますし、何より【中身が薄っぺらく感じられやすい欠点】もありますから。




後者は〝文字の黒さ〟と〝空白の白さ〟のバランスが崩れる……この言い方じゃ伝わりにくいか。


できるだけ簡単に言うと、「そんなに改行する意味あんの?」と溜め息つきつき思われやすいです。


実際、ズズイっと上の『たぶん~』の2行、どうでしたか? あまりのワザとらしい改行に、とてつもないクドさを感じませんか?




【一文が短い場合は、改行・空行ナシに続ける工夫も必要】です。


大段落で6行空け(この例の場合)することを考えたら、小段落が白くてスカスカすぎると余計に間延びして見えるのでがんばって!



 * * *


◆ 書式番外:複合型(紙面スタイル・改)


 〈紙面スタイル〉に空行を増やして、少しでも読みやすくした形なんていかがでしょう? 私は、この文体が〝創作小説〟の中で一番好きです。これが読みづらいとすれば、内容が固茹でハードボイルド過ぎるか、話の流れが荒波過ぎるんじゃないかしらん。


「段落の大小をあまり意識しないで、【一文が長けりゃ空行いれて、短けりゃ改行で済ませる】臨機応変さもダイジだぜ!」


 それはまぁ、特に【〈一文改行スタイル〉と〈一文空行スタイル〉を読みやすくする工夫】ですけれど。




 〈紙面スタイル〉そのままでは画面が文字で黒くなって嫌煙されやすく、かといって〈一文空行スタイル〉で書けば今度は白くてダレやすく……うーん、なんとも悩むところ。大段落を意識して書くのは案外むずかしいので、〈紙面スタイル〉か〈一文改行スタイル〉の「大・小段落1空行アレンジ」なんていいかもしれませんね。


 先ほどははしょってしまいましたが、〈一文空行スタイル〉にもメリットはあるのです。【余白を増やすメリット】とも言える話で、スクロールの手間を逆手に取って【スピード感を出す】ことができます。一文1つ1つ、あるいは小段落を長く書く人向け、とでも言いましょうか。



 * * *


▼ まとめと余談


===

◇ スタイル名

字下げの有無

一文・小段落・大段落の扱い

=========


◇ 紙面スタイル

字下げアリ

――・改行・空行1


◇ 一文改行スタイル

字下げナシ

改行・空行1・空行2-3


◇ 一文空行スタイル

字下げナシ

空行1・空行2-3・空行4-6



――まとめると、こんな感じですね。



余談としては、同章内での【視点主交代と一部の場面替え】には、空行ではなく【〈仕切りセパレート〉を使ってほしい】なと。


この講座内では『* * *』ですが、なるべく意味のない記号なら、●でも☆でも◆でも何でもいいし、並べる数だって自由です。



好みで表現するべし!←



新しい〈節:章の次に小さい単位〉の始まるところには、【通し番号 or 章ごとの連番】で数字を振っておくと、【感想等を書くときに説明しやすい】ので個人的に推しておきます。

( ´ ▽ ` )てへっ☆


短編でも長編でも、一節が長ければ投稿自体を分けているでしょうから、使ってもやはり記号かな……



ちなみに。



大・小段落で空行を入れない書籍では、逆に、空行1つで視点主交代や時間経過などの節変わりを表現できます。


同じく空行で表現したいなら、〈紙面スタイル〉では3行空け、〈一文改行スタイル〉では4-6行空けをオススメ。


間違っても〈一文空行スタイル〉で空行表現はいけません。記号です、記号で表現するセパレートを使うのです……。







――以上で、講座を終わります。

少しでもアナタの創作の糧になれたなら幸いです。


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とても励みになります。


あずま八重


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