魔王と呼ばれる竜人娘は大賢者さまにゾッコンらしい
我が〈セカイ図書館〉へようこそ。
どのような
――〝しちゅえーしょんらぶこめ〟?
ああ、なるほど。セカイ
*
王都、その城下町。
「勝てたらっ、ホントに結婚――ッ!」
金色の瞳をギラギラさせて、つばぜり合いに持ち込み少女が迫る。
「ああ、してやるよ」
またしても軽い調子で返し、少女の双剣を青年は魔術剣で押し飛ばす。止まりきれないと判断したのか、ついに翼を具現化させて、少女が
「異種族間恋愛――バンザイ!」
さきほどよりも移動速度が上がったことで、
「でも、タダビトなんか
「あら心外ね! 愛あればこそよ!」
「
どこまでも熱くるしいリュートの娘を、どこまでも冷ややかにタダビトの子があしらう。種族自体のパワーバランスと真逆のことができてしまうのは、彼が〈大賢者〉であるからこそだ。
その大賢者さまは、いまだに〈
「クールなツラでよく言うものよ」
双剣を逆手に持ち替え、
「ちょッ、そこで〈
「うるさい! アンタにとっちゃ、こんなのハンデにもならないじゃない!」
「あー、
「愛の為なら、国の1つくらい滅びてしまえ」
冗談でないことは、黒い
「マジになるなよオイやめやめ、俺が怒られる待ッ――」
「焼き尽くせ、〈
「チィィッ! 最大展開、〈
行き場を
そんな器用な芸当をシレッとやってのけるのは、この大賢者くらいのものだ。それもヒトの身で、〝
ヒト族初の大賢者にして、歴代最強となった男。地位不動を
だからこそ、どうにか
「ぐぬぬぬ……国に追い出させる作戦が」
「そういう退路の断ち方、やめなさいね!」
大賢者の切実な願いは、乾いた空に響くだけだった。
*
おや、お帰りなさい。
実を言うと、こちらは
それでも、アナタに少しでも楽しんでいただけたなら、これ以上ない光栄と存じます。
では、またご縁がありましたら当〈セカイ図書館〉へお越しください。
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魔王と呼ばれる竜人娘は大賢者さまにゾッコンらしい
〔2018.12.29作、2019.03.15加筆〕
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★カクヨム3周年記念選手権③「シチュエーションラブコメ」参加作
お恥ずかしながら、エブリスタで個人企画用に書き下ろした作品に、前後の語りを足しただけのものです。あちらでは創作過程込みで公開しているので興味がありましたらペンネームで検索を。
これがラブコメの形を成しているかは分かりませんが、こういう話を一作くらい書いてみたいなと長いこと思ってます。
(2020.06.02)
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