第60話 テイミングと歌舞伎町の謎事件【中編】
俺はナーシャと共に歌舞伎町にやってきた。
黒猫姿でだけどね!
ナーシャが俺を抱え上げて胸に抱き抱えてくれてるけど、ナーシャも意外に胸が大きいんだよね。
フワフワして気持ちいいぜ!
待ち合わせをしていた、歌舞伎町のカフェで『ミサキ』と名乗るいかにもなキャバ嬢な、お姉さんと会った。
猫な俺は店内だと入れないので、オープンテラスのあるカフェにしてもらってた。
赤い首輪とリードを付けられて、いかにも飼い猫っぽくさせられてるけど、リードって嫌だな。
「あの私日本語しか話せないんですけど、大丈夫ですか?」
見た目がどう見ても東ヨーロッパ系の、プラチナブランドの髪に青い目のアナスタシアの見た目にビビってた。
「大丈夫、私は日本語全然平気だから。アナスタシアよナーシャと呼んで頂戴」
「安心しました。その猫ちゃん可愛いですね」
俺を褒めるとはポイント高いな、キャバ嬢の必須スキル『褒めれそうなところを見つけて、取り敢えず褒める』が発動してるのかな?
「早速ですけどお話を伺ってもいいですか?」
「ここだと誰に聞かれちゃうかわからないので、周りに人のいない公園とかに移動させてもらってもいいですか?」
ミサキさんは周囲を警戒するような感じで見まわして、そう言って来た。
一般人の彼女にこういう警戒をさせる所を見ると、恐らく依頼の深刻度は本当なんだろうな。
近所の公園に移動して、周囲に人のいない事を確認すると、ミサキが話し始めた。
「私の友人のジュンちゃんが失踪してもう一か月になるんですけど、失踪する前に凄く気になってたことがあるんですよね」
「どんな事ですか?」
「ジュンちゃんは元々ちょっとふっくらした美人で、でもスタイルとかは凄く良かったんですけどね。それが歌舞伎町のホストクラブ『Star prince』に通い始めてから、どんどん痩せ始めちゃって最初は、お気に入りのホスト君のために頑張ってダイエットでも始めたのかな? くらいに思ってたんですけど、一緒に食事に行くとそれまでは、結構野菜中心の食事だったのが、ガッツリお肉ばかり好むようになって食べる量も凄い増えてたんですよね。それなのに見た目はどんどん痩せていっちゃって、おかしいですよね?」
「その痩せ方は、パーソナルトレーナーが付いて体を鍛えてるとかじゃなくて、病的な痩せ方だったの? 後もう一つドラッグに手を出したりはしていなかった?」
「ドラッグは無いと思いますけど、あの痩せ方じゃ百パーセント違うとも言い切れないです、でもさっきも言ったけど食欲は凄かったんですから違うと思います。パーソナルトレーナーなんかも絶対違います明らかに引き締まったと言うよりは痩せ細るの方が表現として合ってましたし」
「他に気になる部分はあった? 後、日本の警察なんかには届け出はしてあるの?」
「警察には届けましたけど、ホスクラ通いのキャバ嬢が行方不明なんて、普通にありすぎてまともに取り合ってもらえなかったです。気になったのは首筋を隠すようなチョーカーを使い始めた事くらいかな?」
「チョーカー? 急に使い始めたの?」
「それまでは、ネックレスばかりだったのに、首をぐるっと隠すような幅広のチョーカーばかり使いだしたんです」
「時季的には暑い時季だし不自然ね」
「それにですね私もジュンちゃんと一緒に『Star prince』に何度か行ったんですけど、チョーカーを巻いてる女の子が半分近くいたんです」
「流行ってるの?」
「そんな流行聞いたことないです『Star prince』内だけで流行ってたみたいです」
「他にも行方を消した人が居たりするのかな?」
「他の人のことははっきりとは解らないんですけど、噂では」
「解ったわ、調べてはみるけど私たちはあくまでも、公的機関でもないし有償で請け負う興信所でもないから、成果も約束は出来ないわ、そこに悪が存在するなら、正義を執行するだけです。それと私の容姿などは公表を控えて欲しいわね。有名になるとデートもしにくくなるし、レストランの食事も落ち着いて楽しめなくなるから」
「解りました。よろしくお願いします」
俺は最後に『ニャー』といいながらミサキさんにすり寄ってみた。
胸に抱き抱えてくれた。
EかFはあるな! 幸せだ。
ミサキさんに鑑定をかけてみたが、至って普通にキャバ嬢としての鑑定結果しか出ないな。
恐らく嘘をついていないことは間違いない。
ジュンと言う女性の首に巻かれたチョーカーが唯一の手掛かりっぽい情報だな。
『Star prince』に侵入してみるか。
ナーシャに客として『Star prince』に入店するように、指示した。
「翔、ホストクラブって料理は美味しいの?」
「そこは期待してもダメだと思うぜ? 出前とか取ったらいいんじゃない? お金は全部俺が出すから好きなだけ楽しんでみて。ヒントを見つけようと思ったら、チョーカー巻いてる女の子と仲良くなるのが、手っ取り早いと思うから、うまく奢って仲良くなるのもいいかもね。俺はさ店内に紛れ込んでからソファーの下にでも隠れて、いろんな会話盗み聞きして情報集めるから」
営業時間は十八時半から一時までか、あんまり早い時間から入っても盛り上がって無さそうだし、夜の十時くらいからラストまでの時間で行こうかな。
俺達は一度『Hope Land』の拠点へと戻った。
拠点に戻ると俺の姿のTBが綾子先生と美緒に挟まれて脱出しようともがいていた。
「美緒……何やってるのかな? 綾子先生まで巻き込んで」
「あら、お帰り早かったじゃない。無抵抗な翔が珍しすぎて、二人で色々楽しんでたのよ。ね、綾子」
「アワワ、ションナコトナイデシュ……」
「先生思いっきり目が泳いでるし、噛みまくってるし怪しすぎるだろ」
取り敢えず一度自分の姿に戻った。
「TBお疲れさん。無茶な事とかされなかったか?」
「おやつ美味しかったにゃ、人間の食べ物もおいしいにゃね」
「でも自分の体の時は、猫用のご飯食べ無きゃ塩分の取りすぎで、体調不良になったりするから気を付けてね」
そう言ってアイテムボックスから高級猫缶とカリカリを出してTBに与えた。
「美味しいにゃ、ご主人様、人間はお湯に入って何も出ないおっぱいを吸うのが普通なのかにゃ?」
そう言ったTBを見て美緒が頭に手を当てて『アチャー』っていう表情をして、綾子先生が耳まで真っ赤にしてうつむいた。
「美緒、先生、俺の体でHな事とかしてないでしょうね?」とジト目で見ると「ちょっとおっぱい吸わせて見ただけだから、大丈夫だよ」と美緒が開き直った。
「俺はまだ一応清く正しく居たいから、そんなのは禁止ね!」
「解ったわよ固いわね翔は」
「翔君ごめんなさい、少し調子に乗りすぎました」
まったく、油断も隙も無いな。
まぁ俺もナーシャとミサキのおっぱいの感触楽しんでたから、人のことは言えないんだけどね……
で今日の夜にナーシャとホストクラブに潜入することにしたから、綾子先生も一緒に来て。
美緒はまた俺の体の番しててね。
「私、ホストクラブなんて行った事無いし、何喋っていいか解んないですよ?」
「先生はお客さんなんだから、堂々と座ってればいいだけだよ。向こうが勝手に盛り上げてくれる筈だから。ただ上客っぽくセレブな格好で来てね」
「私もセレブな格好の服買って欲しいです」とナーシャが言ったので、ニューヨークに飛んでナーシャの服装を揃えさせた。
全部で二十万ドルも使っちゃったよ。
ラルフローレンで全身コーディネートして、ハリーウインストンで宝飾品をチョイスしたナーシャは、アンナにも匹敵するモデル体型も相まって、めちゃセレブ感出してるよ。
時刻もちょうどいい時間になり、黒猫姿の俺とナーシャ、綾子先生の三人で歌舞伎町に再度向かい、いよいよ潜入する事になった。
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