第34話 V5とヘッドハンティング計画
競泳競技も残す所は後二日、今日の出番は午前中だけだ。
バタフライの百メートル決勝と、自由形の五十メートル準決勝だ。
朝一のレースが百メートルバタフライなので、早い時間から会場は凄い賑わいになっている。
GBN12も開場と同時に、メンバー全員が揃って会場の最前列に陣取って、他の観客の人達と応援のタイミングを合わす練習したりしてて、観客の人達もそれを楽しんでた。
サービスでじゃんけんゲームとかして、勝ち残った人にはメンバーとの握手と、2ショット撮影とかしてるし、そりゃぁ盛り上がっちゃうよね!
今日もまずはドーピング検査の採尿から始まるけど、これだけは本当に嫌だよね。
見られながらおしっこするとか、一部の人は嬉しいのか?
女子選手の検査ならちょっと検査官やりたいと思ったのは内緒だけどね!
禁欲生活を続ける十四歳の肉体は、ちょっとした刺激で、一部が元気になりすぎちゃうから、くれぐれもカメラの前で、
そして時間は十時半になり、いよいよバタフライ百メートル決勝レースのスタートだ。
「Take your marks」の声が聞こえると会場が静寂に包まれ、号砲とともに勢いよく飛び込んでスタートする。
ほとんど自重をせずに一気に先頭で泳ぎきって、
48秒00
大声援に包まれながら、右手をパーに広げて5つ目を会場全体にアピールする。
会場全体ももう慣れた感じで構えてる! 一気に右手を突き上げて、会場全体に手を振りながら、声援に感謝した。
マンネリだって構わないぜ、嬉しいものは嬉しいんだしね!
その後二つの競技を経て、表彰式を迎え五つ目の金メダルを獲得した。
その直後に今度は自由形五十メートルの準決勝だ。
短距離のスピードレースは凄い激戦だし、昨日の夜の予選で二着泳ぎしたけど、そのタイミングを計る手間より世界記録ペースにならない程度で一着で泳いだ方が簡単だと思っちゃったから、飛び込みから一気に先頭で泳ぎきった。
ターンの無いこの競技だと、負ける要素を探すほうが難しいぜ!
これで明日の競泳最終日に二つの金メダルを獲得してコンプリートだね。
混合四×百メートルリレーの決勝を、GBN12と一緒にスタンドから応援して今日の出番は終了だ。
俺は、今日は午後の情報番組にGBN12と出演予定になってたから、出演テレビ局のそばのホテルビュッフェにみんなで出掛けた。
GBN12のメンバー十二人と俺と両親、綾子先生に、遊真と希望ちゃんとお母さん。
総勢十九人も居たけど、歴史あるホテルの人気レストランのビュッフェは凄く豪勢で大満足だった。
GBNのメンバーの子たちは「美味しすぎて衣装が入らなくなっちゃうくらい、食べちゃいました」とか言ってたけど、満足してもらえたなら何よりだよ。
もちろん今日は全員分、俺の奢りということで楽しんでもらったよ!
既に、金メダルの報奨とか各スポンサーからの、成績に対しての追加報酬なんかもヤバイくらいの金額になってるし、使わないと経済が回らないよね!
満面の笑顔で食事を楽しむアナスタシアの姿も見えたよ……
スペツナズって給料安いのかな?
アンナや香織達以外のパフォーマーの女の子達は、自分から売り込みに行って、レッスン代まで払ってアイドルを夢見てきたらしいけど、今回のGBN12のプロジェクトに選ばれたお陰で、練習生からは卒業できて結構なお給料も貰えるようになったって、俺に感謝してくれてるみたいだ。
まだ印税とかは確定してないけど、楽曲の印税は十二人全員で頭割りにする事になってるから、もっと幸せになれるはずだよ!
でも所属事務所の契約内容次第では、凄い搾取される事も有るらしいから、一度俺のところの今泉さんに契約書類は確認してもらったほうが良いかもね?
アンナにはモデルの仕事も凄いオファーが来てるらしいから、GBN全員で参加するのを条件で返事をするのもあるんだって。
仲間思いだよね。
でもチョットちんちくりんの香奈は、モデルとか舞台映えしそうにないよな。
香織は美少女剣士役のドラマや映画のオファーが続々と舞い込んでるそうだけど、ドラマの撮影とかは拘束時間も長いし大変だろうねぇ。
◇◆◇◆
お昼御飯の後は、スタジオに行ってテレビ出演だ。
昨日から始まった陸上競技での様子とかを見せられてコメントとか求められたけど、みんな頑張ってるんだからコメントなんて出来ないよね。
「みんな頑張れ!」って言うだけにしたよ。
コメンテーターって言う職業の人は、なんであんなにバッサリと駄目な所とか指摘できるのかな? 決して今出場してる人達より早く走ったりした実績が有る訳じゃないのに、ダメ出し出来るのって不思議だなぁ?
まぁ俺がもし本気で答えていいなら「異世界に行って、魔王を討伐できるくらいに鍛えまくったら、基礎体力も上がって、早く走れますよ!」って言おうかな。
今日は、大御所って言われるすっごく喋る人がメイン司会者の番組だったんだけど、この人は本当に喋りが上手って言うか、いつの間にか自分の意図する方向に話を持っていって、こっちに振られた時には答えなきゃしょうが無い状態になってる。
でもそれが決して嫌な感じがしなくて、楽しんでる自分がいるんだよね。
喋り一つとっても凄い才能! って存在するんだね。
で、その人がいきなり俺に話し振って来てさ……
「GBNのメインの四人組はクラスメイトとその妹なんやってなぁ、誰が一番好みやねんな? お前、こんなぎょーさん女の子
って言って俺に耳を近づけて来た。
「みんな素敵な女の子だから、チャンスが有れば誰かとお付き合いしたいですね! あ、香奈は抜きで」って答えたら、今度は女の子の方に向かって……
「松尾翔と付き合いたいって思ってるやつ手ぇ上げてみ!」
て言ったら、陽奈、香奈以外はパフォーマーのお姉さんたちも全員手を上げた。
そんな堂々とやられちゃうと、俺もチョット焦ったぜ。
陽奈は「私は素敵な彼氏居ますから!」と発言し、スタジオからため息が漏れた。
香奈に「お前は、松尾翔に興味は無いんか?」と聞いて、香奈が「翔君は何も言わなくても、魔王である私には貢いでくれるから大丈夫です!」と意味不明の事を言っていた。
「まぁ松尾翔は銭稼ぐからなぁ、みんなその気があるらしいから責任持って一生面倒見てやりいな、この色男、腹たつわぁ」って勝手に締めくくられちゃった。
◇◆◇◆
でもこれから先も芸能活動的な出演もある程度はやらなきゃだろうし、そろそろ専業のマネージャーが必要かもね?
前もって質問内容とかは、例えば他の競技者へのコメントは応援コメント以外はしたく無い。
とかは決めておかないと、俺が他の競技者に何かコメントすると、絶対上から目線だとか言われて炎上しちゃうよね。
母さんに、このままマネージャー任せても、そんな交渉とかは期待できないしね。
専業の人を雇ったほうが良いよな。
あ! 綾子先生とかどうだろうか?
先生はなんだかんだ言っても、俺の前でだけはポンコツだけど、普段はめちゃデキる女のイメージの先生だからきっと上手くこなしそうだ。
俺達が卒業した後に、俺と香織達四人のマネージメントしてもらったら、香織やアンナが学校に余り行けなくても家庭教師込でお願いできるし、何よりも俺の事情を理解してるのが大きい。
母さんは、父さんのバイクショップの経理とかも有るし、それがいいよね。
でもなぁ……俺が頼むと嫌って言えないかも知れないし、本人の意志の確認とか含めて、今泉さんからオファー出してもらおうかな、年俸は千五百万円くらいなら、きっと今よりはいいはずだよね?
俺は今泉さんに連絡を取って先生の件を頼んでおいた。
まぁ今日も先生や遊真兄妹は、スタジオに居たんだけどね。
夕方からはGBN12が応援に行く横浜スタジアムに野球を見に行った。
早めに到着したら、前に始球式の時に俺からホームランを打った、球界ナンバーワンの一番バッターと誉れの高い山口選手が俺を見つけて、試合前練習の時にグラウンド内に招待してくれた。
まだ試合開始まで一時間半も有るのにほぼ満員のスタンドは、俺がグラウンドに現れると大歓声に包まれた。
俺は「どうしましょう? 何もせずに帰れない状況になっちゃった感じがしますけど?」と山口選手に聞いてみた。
「サービスでキャッチボールでもして見せてあげようか」と言って俺に予備のグローブを渡してきた。
他の侍ジャパンのメンバーも、俺には興味があるらしくて、俺と山口選手のキャッチボールを手を止めて見始めた。
一球毎に距離を伸ばして行き、センターの位置からキャッチャーの位置くらいまで離れると、会場も凄い盛り上がって、そこで山口さんがキャッチャーボックス定位置にしゃがんで構えたから、これはそう言うことだよね? と思って、センターバックスクリーンの壁際から、キャッチャー定位置に、一直線で投げ込んで当然ど真ん中ストライクだった。
そこで終わりにして、侍ジャパンの人達に挨拶をして観客席の方に向ったけど凄い拍手されちゃった。
◇◆◇◆
(ベンチ内での会話)
「あの子野球経験無いって言ってましたよね?」
「そうらしいな、本気で野球するとか言われたら、俺達じゃ誰も打てないぞ。俺が打てたのは全部寸分違わず同じ場所に三球来たから、そこにバット出しただけだしな」
「野球しないんですかね?」
「もし野球やると言ったら、大リーグが二百億円出してでも連れて行くさ、英語もペラペラらしいぞ。日本じゃどこもそんな金は出せないよ」
「「「だよな」」」
◇◆◇◆
俺達の登場で応援も凄い盛り上がって、それに応えるように侍ジャパンも快勝した。
さぁ明日は競泳も最終日だ。
景気よく世界新二つで締めくくろうかな?
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