いとなみの詩(うた)

鯨ヶ岬勇士

罪の実

私の故郷くにには罪の実がなる


それはドアノブ、柱の縁、人気のない森の木になる


それはガジュマルのように、ゆっくりとしめあげる


最後はそれにこころをうばわれる


私の故郷には罪の実がなる


それは血が通うように赤く、紫にくすんだ色になる


それは風にゆれ、最後は腐って落ちる


形を失った実にひとはなげく


私の故郷くにには罪の実がなる


それを見ると家族は涙する


疲れた私の心で芽を出す


がけっぷちのもとになる実


私の故郷くにには罪の実がなる


罪の実よりもおもい恥なんてない


罪の実をみのらせないといけないひとなんていない


罪の実はつみとらないとけない


それは最大の罪


みずからをころす罪


家族のこころをころす罪

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