異世界(に行ったつもり)で糖質制限ダイエット

金目猫

1話 ある日森の中エルフに出会った♪



ある日神(医者)が 私にこう言いました


「立派な糖尿病ですね」


シュガーガール認定をうけたその日から

私の前から白米が消えた……

これが異世界でなくてなんだというんだ!!?


かくして異世界にとばされた「サクラ」の

冒険の日々がはじまった


名前 サクラ

職業 駆け出しダイエッター

身長 158

体重 80

年齢 秘密

魔法 火魔法(GAS)水魔法(水道)

雷魔法(電気)氷魔法(冷蔵庫)重力(体重測定)

状態 HbA1c 8.6


「では、いってらっしゃ~い」


「まって!まってよぅ!!そんな低スペックで私にどうしろと!?」


「2週間後またね~」


サクラは光につつまれた





◇◆◇◆◇





気がつくと森の中だった。


「…………」


鳥のさえずりも

さわさわと木の葉が揺れる音も

日の光の眩しさも

バーチャルなんかじゃない、の森


ひどいよ神様!こんなか弱い女の子(?)を森の中に一人放り出すなんて……泣いちゃうよ?

こんなとこで 何をどうしろと?

えろってこと??

飢え痩せろってことか???


でっかいため息をついて途方に暮れていると、がさがさと草むらが揺れた。


ヽ(゜Д゜;≡;゜Д゜)丿あひゃあ!!!


熊か!?虎か!?猪か!?サーベルタイガーか!!?どれにしろ死ぬ!死ぬー!!


「どうかしましたか?」


人の声……


よかった!泣きそうだったよ

着の身着のまま 水すら持ってないのに 山の中って

しかも優しそうな声


「あの、私……」


サクラは声のするほうを見て 再び動揺する。


(えっ!)


輝く長い金の髪をなびかせ、整った顔立ちの男が現れた。

重さを感じさせず 軽やかにサクラに近付く。


男は サクラの前まで来ると ふんわりと微笑ほほえんだ。


全てを魅了するような笑顔、纏う空気が神々しい。


こんなうるわしい生き物が存在するなんて……

思わずその姿に見惚れてしまった。


特徴のある長い耳……これは


「エルフ?」


「イシルと言います」


耳に心地いい声が響く。

これは、夢か?

いや、夢じゃない。

神は一体私を何処へ送り込んだんだ!?

ホントに異世界なんだ……


「あの、はじめまして、サクラです」


「お困りでしょう、よかったらうちへきませんか?」


知らない人のお家に着いていっちゃいけません……

ですがこんな森の中の今頼れるのはこの人だけ……


「行く宛があるのですか?この辺りには僕の家くらいしかありませんが……」


そうなの!?


「見たところ 冒険者ではなさそうですし、もうすぐ日も暮れます」


平々凡々一般ピープルです。

冒険者とかいる世界、やべぇな……


「このまま森にいたらすぐに死んじゃいますよ」


いやいや……そんないい笑顔で怖いこと言わないでくださいよ、そのとおりですが。


「どうしますか?」


これはチュートリアルかな?

ファンタジーゲームとかであるファーストコンタクト。

イシルさんはナビゲーターさん?

よし、では神の御心のままに!


サクラはイシルの案内についていく。


そこは

森のなかにぽつんと一軒家。


サクラはリビングに案内された。

趣味の良い おちついた調度品 テーブルにソファー、本棚にはたくさんの本がならび 知的な雰囲気が漂っている。

奥にはキッチンがあるのか、イシルがお茶をだしてくれた。


「一人で住んでるんですか?」


「ええ、ここは少し辺鄙なところにありますからね」


「そうなんですか……」


「……」


「……」


会話がつづかない……

何か話をしなくては……あ!


「エルフは雪の上を歩けるって本当ですか?」


何を聞いてるんだ私は……


「ええ、本当です」


律儀お答えくださりありがとう、イシルさん。


いやね、エルフですよ、エルフ

めっちゃ美形すよ!!

どうしろってんですか!

緊張するわ!


「そんなに構えなくても 危害を加えたりしませんから」


いやいや、滅相もない!あなたが美形すぎて直視できないだけなんです。なーんて言えるわけがない。


「イシルさんこそ、こんな得たいの知れない私なんか招き入れて 大丈夫ですか?」


「サクラさんみたいな 女の子が何かするとは思えません。みればわかりますよ。それに……」


「それに?」


「いえ、丁度退屈していたところなんですよ。話し相手ができて嬉しいんです」


「そうなんですか」


何か言いかけた気がしたがんだけど……


「何故に?」


それは私も聞きたい。神よ。


「あの、信じてもらえないかもしれませんが、神様に連れてこられて」


ポイ捨てですよ。


「神に……」


そんなこと言われても困りますよね、すみません。


「それはお困りでしょう、ゆっくりしていって下さい」


あれ?信じた?


「ありがとうございます」


「……居たいだけいてください」


そんなに退屈してるの?


「あ、サクラさんお疲れですよね?」


イケメンな上に気遣いもしてくれるなんて恐縮です。ほんと、おかまいなく。


「大丈夫です」


「遠慮しないでください。簡単なものでもうしわけありませんが、食事にしましょう。今から作るので 少しお待ちください」


「あ、手伝います」


好意を受け取ってばかりじゃ申し訳ない。


「サクラさんは生活魔法は使えるんですか?」


「はい。多分、一応は」


魔法欄に火水雷氷重力てあったから大丈夫だろう。

重力てなんだ?あぁ、体重測定か。


「刃物はつかえますか?」


「野菜を切ったりする分には。肉も魚もさばけませんけど」


「問題ありません」


イシルはにっこり笑う


「今日のメニューは鍋です」






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