第2話 阿弥陀如来の警告

 阿弥陀如来は脇侍である観音菩薩が孤児となった二匹の獣をわが子のようにかわいがり、仏の教えに沿って教育していることを微笑ましく見守っていました。

ある日、二匹の獣の子どもたち、狐と山犬の修業の様子を伺う機会がありました。そこで、何事でも物覚えがよく、とにかく習得するのが早い狐をご覧になられ、怪訝な表情を浮かべられました。そして観音菩薩に向かってこう仰られたのです。

「なるほど、観音菩薩の言う通り、優秀なよい仔たちですね。けれど子狐は、あの狐は賢こさが過ぎますね。学んだことをすぐに吸収し、適応力もあってなかなかの知恵者となるでしょう。しかし・・・その知恵が余計なところに悪用されなければよいのですが・・・」

 果たして、この阿弥陀如来の懸念はその後現実となってしまうのですが・・・。それはさておき、

 それから狐と山犬は観音菩薩のよき弟子となって、観音菩薩が地上に降りるところに度々随行します。そこでやがて複雑な人間界の様相に困惑することになるのです。

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